過去ログ - おおゆうしゃよ、しんでしまうとはなさけない
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20:シリ……アス?[saga]
2011/11/23(水) 22:48:30.65 ID:8HucEgRpo

魔道士「ええ、元人間よ」

戦士「なっ!? ば、バカな!! そんなこと聞いたことないぞ!」

魔道士「そりゃ普通は魔物を食べようとしないから」

忍者「そ、そんな……」

勇者「だったら俺たちは人間を殺したということか!?」

魔道士「あれはもう人間じゃないわ。魔物の肉を食べたから魔物になったって言ったけど、そもそも食べるためには魔物を生かしたままにしなきゃいけないでしょ? それを行える時点でもう魔物に近いのよ」

戦士「しかし! 生まれつき魔物ということではないのだろう?」

魔道士「残念ながら生まれつきその素質はあるわ。子を孕んでる時には既に親自身が人間をやめているから。いつからそうなのかは知らないけど随分と昔からのようね。ここにいる完全な人間は私たちだけだよ」

勇者「どうして今まで黙ってた!!」

魔道士「今が言う時だと思ったんだけど、違ったかしら?」

戦士「勇者、落ち着け」

勇者「これが落ち着いていられるかよ! 俺たちは……俺たちは……どうしたらいいんだよ!!」

忍者「勇者……」

魔道士「……私たちにできることは終わりにすることだけよ」

戦士「魔道士! いい加減にしろ!」

魔道士「どうして? どうしようもないわ! 全員が完全な魔物になってしまったわけじゃない! まだ人間の部分だってあるわ! だけどそれはあと少しの間だけなのよ!! いずれ魔物になって、人間を襲っちゃうのよ! それも最初は意識があるままによ! 殺したくないのに殺しちゃうの! そしてその後悔の気持ちも何もかもがなくなって魔物になるのよ!! ………………人間として終わらせてあげようよ」

忍者「魔道士……」

戦士「……怒鳴って悪かったな」

勇者「俺も、ごめん」

魔道士「……私も取り乱しちゃったし、お互い様よ」

全員『……』

カタッ

勇者「……魔物の気配だな」

魔道士「噂をすればなんとやらね」

戦士「やれやれ、腹括る時間も与えられないとはな」

忍者「本当にやらなきゃいけないんだよね?」

魔道士「私は元に戻す方法を知らないわ」

勇者「……魔道士が知らないのならこの世で知っているやつはいないだろうな」

戦士「そうだな。こんな切羽詰った状況じゃ調べられないしな」

忍者「世界の図書館って呼ばれてる魔道士が知らないんじゃ、どうしようもないよね」

魔道士「ちょっ! その名は言わないでよ! ……まぁこれは遥か昔にも問題になってたみたいだけど、解決方法は絶対にない……ううん、終わらせるしか方法はないよ」

勇者「魔道士の魔法でも無理ってコトだよな?」

魔道士「……不可能ね。人間は魔物や悪魔になれるけど、魔物や悪魔は人間にはなれない。人間は天使になれるけど、天使は人間になれない。これを覆すことは神様でも無理よ」

忍者「どうして他のものになるのかな?」

魔道士「魔物には食料に困ったり貧しい生活を強いられることで、悪魔には悪事を働き続けたり悪意を抱き続けることで、それぞれ人間でいることが無理になって堕ちる。天使には人間のか弱さが嫌になったり天使への憧れを持つことで人間でいることが嫌になって堕ちる。そんなところね」

忍者「どうして人間は他のものになれるんだろうね?」

魔道士「なれないものもあるけどね。例えば魔物の上位である魔族には人間が直接なることはできないし、鬼とか」

戦士「……おしゃべりはそこまでだ」

ガタン

勇者「それじゃあ行くか」



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