52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[saga]
2011/11/24(木) 01:59:03.62 ID:uFOG1DQZo
首輪がないところを見れば、野良猫だろう。尻尾のない、白い猫だった。元々尻尾のな
い種なのか、路上生活の末に千切れてしまったのか、それはわからない。白い猫――見方
によっては銀色のようにも見えるが、しかし、どちらにしたって、自身の血の色に染まっ
て、その地毛の色は台無しだった。一度轢かれた後、何度も後続車に轢かれたのだろう、
まるで、ぼろ雑巾のような、酷い有様である――翼ちゃんは迷わず、当たり前のように歩
道から車道へと出て、その猫を拾い上げた。
「手伝ってくれる?」
「ああ」
翼ちゃんにそう聞かれて、頷かない奴はいない。
僕たちは、近くの山にその猫を埋めてやって――こうして、四月二十九日、翼ちゃんと
僕にとって悪夢の九日間の最初の一日、プロローグとしての一日は、幕を閉じたのだった。
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