9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)
2011/11/24(木) 01:18:55.05 ID:uFOG1DQZo
怪異にはそれに相応しい理由がある――この場合、彼女が抱えていた家庭の不和と歪み
こそが、それに相応しい理由だったというわけだ。そう、誤解というなら、それこそが完
全な誤解だった。いい人間は不幸せな人間で、悪い人間は不幸せな人間だなんて、僕はそ
れまで、それをわかった振りをして生きてきたのだけれど、でも、やっぱりそれは、ただ
の振りだったのだ。本当の意味で、わかってはいなかったのだ。いいから不幸せなのでは
なく、不幸せだからこそ、善良にならざるを得なかった人間もいるだなんて――僕には及
びもつかなかったのだ。
そんな、そんな僕に。
羽川翼は僕に手を差し伸べてくれた。
あの春休みだって、彼女には、僕を助けている余裕なんてなかったはずなのに――それ
なのに彼女は、僕をどん底の中から、どん底のどん底の中から、引き上げてくれた。
僕はそれを忘れない。
この先、たとえなにがあっても。
忘れたく――ない。
突然だが、僕はこれから、苦い思い出であり、渋い思い出であり、しかしどこか甘酸っ
ぱい翼ちゃんとの思い出について語ろうと思う。
別にこれと言った意味はない。ただ、それを目の前の彼女が欲しているという、ただそ
れだけの理由だ。
では、
それでは、
タワム
羽川翼と想いの限り 戯 れた、あのゴールデンウィークのことを、あの黄金色に輝く九日
間の悪夢のような戯言を、語ろう。
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