過去ログ - 黒子「……好きにすれば、いいですの」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県)[sage saga]
2011/11/26(土) 02:00:43.56 ID:Cp32iA0do
 涙子ともども飾利に連れて行かれた風紀委員の詰め所(公園放電でたいそう叱られた)からの帰り道。

「あれ、こんなところで何してるんだよ、美琴」

「ひゃ!?」

 背後からかけられた、数時間前と同じ台詞と同じ声に、ビクリと美琴は背筋を震わせ、振り向いた。

 立っていたのは、会いたくて会いたくない、件のツンツン頭だ。

「ああああああああ、アンタ! なんでこんなところにいるのよ!?」

 上条の寮は、ここからかなり離れている。

 今日はもう会うことはないのだろうな、と一抹の寂寥感を味わいながら歩いていたところなのである。

 幸い、さきほど思いっきり注意を受けたところなので、辛うじて自制心が働いてくれたらしく、放電まではしていない。

 それでも、頬が赤く熱くなるのを止められなかった。

「ん? ああ、俺は土御門たちと遊んで、今から帰るところだけど?」

 対照的にフラットな表情で返答する上条。

 ガリガリ、と後ろ頭を掻く仕草に、動揺の色は一切ない。

 思わず反射的に「私もよ! なんか文句あるの!?」と言い返しかけた美琴だったが、その直前に、ピタリ、と動きが止まった。

「アンタ、どうしたのよそれ」

「へ?」

「その、肘。引っかき傷なの、それ」

 頭を掻く上条の右手。その右手首の内側辺りに、赤い三本の線が走っている。

 いや、それははっきりと、引っかき傷だった。それも自分で掻いたような軽いものではない。皮膚は削れ、まだ血も滲んでいる状態だ。

「ああ、これ? いや、さっきちょっと」

「……アンタ、またなんかに巻き込まれてるんじゃないでしょうね」

 美琴の瞳に、心配と不安が浮かんだ。

 彼は記憶を失うまで、幾度も戦いに赴いている。

 それを知る美琴にとって、彼が怪我をしているという事実は、大きな不安の種となる。

「んな、たいしたことじゃねえよ。さっき土御門たちと、ちょっと取っ組み合いをしたんだ」

 いつものじゃれあいだ、と上条。

「……ほんとに?」

「こんなことでお前に嘘なんかつかねえって」

「っ」

 その言いように、美琴の頬が再度熱くなる。

(こ、コイツ、相変わらず……) 

 そういうことを、簡単に言う。

 その癖、本人にはそのつもりはまるっきりないのだ。

「……」

 それが悔しくて、美琴は僅かに俯いて、唇を噛んだ。


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