過去ログ - 黒子「……好きにすれば、いいですの」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県)[sage saga]
2011/11/26(土) 01:10:52.92 ID:Cp32iA0do
真剣な表情の上条。

彼の右手がほんの少しだけ動く。

それはただ、親指がうごいただけ。

彼の親指が、半ば開いたまま震えていた美琴の唇に触れたのだ。

「…いいか?」

問う声は静か。

「……ぁ」

美琴は何も返せない。うなずくこともできない。

視線を返すのが精一杯だった。

不安と期待に潤んだ眼差しを、返すのが。

「……」

上条の顔が、すっ、と近づいた。

空気が動き、かすかに彼のにおいを感じる。

いま自分はどんな顔をしているのだろう。

思考停止の中、僅かだけ残った理性は嘘のように冷静にそんなことを思った。

その間にも、上条の顔は、唇は、近づいていた。

何か言わなければ。

せめて、たった一言、それよりも先に言いたい言葉が。

唇が重なるよりさきに、言ってほしい言葉がある。

しかしそんな想いが少女の吐息を言葉に変える前に。

「ぁ……」

ふわり、と羽毛が大地に落ちるがごとく。

やわらかく、自然に、瞼が、降りた。


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