209: ◆hZ/DqVYZ7nkr[saga]
2011/12/04(日) 08:15:23.93 ID:ex9AI0hxo
その静寂を一方通行が崩す。
「その頬、俺のためだろ?」
その目は全てわかっていると思わせる色があった。
「……お前だけ殴られて、それをみてるだけなんてムカつくからな」
垣根も否定したりはしない。
垣根は能力が無くとも強い。
命のやり取りを問われる実験の中で、一人も殺すことなく生き残ったのだ。
喧嘩慣れしているレベルの上条の拳などあくびをしながらでも避けられる。
垣根が殴られた理由、それは子供っぽい意地を張った結果だ。
「なァににムカつくンだよ」
「上条にだよ……この世でお前をぶん殴れるやつは俺だけでいたいんだよ」
垣根は残ったウイスキーを一気に飲み込む。
「殴られるわけじゃねェよ、殴らせてやるだけだ」
「……おう」
垣根はこの世で一方通行が唯一強いと認める男は垣根帝督だけでありたかった。
そして、自分が唯一勝てるかわからない男は一方通行だけであって欲しかった。
二人はどちらからともなく部屋に帰り、眠りについた。
一人は星の海に描いた夢を見るために。
もう一人は考えるのを一時辞めるために。
静かな夜が五人の上を通り過ぎて行く。
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