31: ◆hZ/DqVYZ7nkr[sage saga]
2011/11/30(水) 16:38:47.68 ID:facbNr1eo
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研究員たちに謝罪を済ました二人は御坂、上条と共にファミレスへと来ていた。
店にはいると、最初はきまずそうにしていた二人だが、垣根の「俺も断ったよ」という関係者にしか分からないであろう一言で一応の和解は済んだ。
残る壁は十年前、別れの時の事だけである。
「なぁ、**……じゃねぇや、一方通行、お前にとって俺は足でまといの邪魔者だったのか?」
上条が御坂を連れ、ドリンクバーへ立った時を見計らい垣根が切り出した。
余談だが、周囲の女の子の好意に気づかず周りの男共を苛立たせる上条であるが、彼は『恋愛事』だけに鈍感なのであり、本来は人の気持ちをいち早く汲み取り、気を利かせる男である。
何故恋愛事に鈍感なのかというと、それは幼少の頃の暗い記憶。
不幸体質から疫病神と呼ばれ、それならばと自分を襲う《不幸》から人を救う強さを身につけたが、その努力も『自演』『マッチポンプ』と非難され刺されたこともあった。
そのトラウマが原因なのである。
その心的外傷は『自分なんかが人に愛されるわけがない』という強い感情を幼い上条の心に刻み込むには十分すぎる威力を持っていた。
そしてそれは《自己》というものを形成途中の心の一番大きな要因になってしまう。
上条当麻という人間を形成する大きな根っこに『自分が愛されるわけがない』と染み付いているのだ。
「御坂、のんびりいこう、時間をゆっくりかけてもどろう」
「ん?なんでよ?」
「いいんだよ、俺らは今必要ないんだから」
「わ、わかったわよ……いきなり笑わないでよ、ドキッとしちゃうでしょう」
最後のほうはボソボソと上条には聞こえにくいものだった。
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもなぁああい!」
上条はどうしてこんなにも優しく微笑む事が出来るのだろう。
そして、その笑顔の裏にはどんな苦しみを抱えているのだろうか。
その苦しみを取り除いてくれる者はいるのだろうか……。
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