68: ◆hZ/DqVYZ7nkr[sage saga]
2011/12/01(木) 06:02:16.67 ID:/QGrE+6vo
〜〜〜
「んんん、よし!もう大丈夫だ。ひっさしぶりに泣いちまったよ」
両手で顔を隠しながら垣根は照れたように言った。
今の垣根は年相応、いや少しだけ幼くみえる。
「私も、十年ぶりね……あなたたちの方が辛い思いをしてると考えたら泣いてなんていられなかったわ」
こちらも照れたように笑う。
「俺は……一人になっちまった時は泣いてばっかだった……でもそんなンじゃ芳川と垣根に笑われると思って強くなろうとした」
ふてくされたように一方通行は言う。
感情というもののだし方が分からないのだ。
だが、信頼できる人の前では泣くなどという安心感は正しく得られた。
今はそれだけでもいいのだ。
「よし、早速だが妹達のところへ行こうぜ!」
なんとなくしんみりしてしまった空気を垣根が打破する。
「そうね、地下に降るわよ」
楽しそうに垣根の笑顔を見つめる。
「……」
どこか面白くない一方通行。
ブスッとしたままそっぽを向いている。
そんな一方通行ををみると芳川はくすぐったい気分になった。
―― 可愛い。
本当に弟ができたみたいだと嬉しく思った。
「ふふっ、ほら*****もいくわよ?」
芳川は未だに一方通行を*****と呼ぶ。
一方通行はそう呼ばれるたびに心に何かを背負わされているように感じていた。
「よ、芳川ァ……その……」
一方通行は子供が何かをねだるような顔をしていた。
芳川はん?と首を傾げ、一方通行の言葉を待つ。
「あの……よォ……その、名前……今は一方通行が名前だから……*****とは呼ばねェでくれねェか?」
怒られる事を怯える幼稚園児のように一方通行は言う。
芳川は少しだけ悲しそうな顔をした後、何かを納得したように頷くとわかったわ、とだけ言った。
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