841: ◆hZ/DqVYZ7nkr[saga]
2012/02/18(土) 14:36:28.14 ID:IFdmce0IO
『はは、楽しそうに笑いやがって……。
でも、なンか仮面でも被ってるみてェだな』
微笑みを浮かべたまま表情を固める四人に恐怖に似た違和感を覚える。
『……本当は、笑ってねェ…のか?』
そう、口にした瞬間―― 声など本当は出ていないのだが、一方通行は独り言を呟いている感覚だ―― 四人の表情は一気に曇った。
『あ、ああ……ああああああああああああッ』
その表情を見た瞬間、存在しないはずの身体が引き裂かれるような痛みが一方通行を襲った。
『ダメだダメだダメだ!お前らは、笑ってなきゃダメなンだ!
俺なンかがいなくたって、お前らは笑えるンだ!
俺は、お前らが笑える未来を作りたくて、お前らを捨てたンだ!
だから、お前らは笑ってなきゃいけねェンだァよォオオオオ!』
支離滅裂で訳のわからない勝手な理屈を駄々っ子のように並べ立てる。
『笑えよッ!俺に笑顔を見せてくれよッッ!そうすれば、俺は一人でも大丈夫だから……』
垣根、ミサカの顔には諦めたような笑顔が浮かぶ。
それでも、一方通行は良かった。
少しでも、無理をしてでも笑ってくれるならば一方通行は大丈夫だった。
『だから、笑っていてくれよ、芳川……』
だが、一番笑っていて欲しい人物の表情は、他の三人の悲しみをも背負ったようにどんどん悲痛にゆがんでいく。
そして、最も見たくない物が、その両方の瞳からこぼれ落ちた。
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