過去ログ - 一方通行「青紫色の携帯電話」
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904: ◆hZ/DqVYZ7nkr[saga]
2012/04/11(水) 21:21:29.16 ID:udiEKYoIO

―― 笑えるな、自分の正義を曲げる事がこンなに簡単だなンて……。
人を殺すのがこんなに、簡単だなンて……。

死ね。

そう、つぶやくと一方通行は演算を始めようとする。

「はじめまして、第一位一方通行」

その瞬間、一方通行の耳に男とも女とも、子供とも老人の物とも思え、それのどれとも言えない奇妙な声が届いた。

「お、前……は」

「アレイスター」

その人物は、微笑んでいるようにも睨んでいるようにも見える不気味な表情をしていた―― ように感じた。

「アレイスター・クロウリー、この学園都市の統括理事長だ」

そして、もう一度名乗る。

その存在は確かにここにいるがここにはいない。
声は聞こえど、どのような表情をしているのかはっきり伝われど、姿が見えないのだ。
その感覚に一方通行は素直に恐怖する。

「な、ンだ……お前」

キョロキョロとあたりを見渡すが、猫の一匹見つける事は出来なかった。

「お前は……なンなンだ?」

一方通行の顔に、今までとは違った種類の“焦り”が浮かんだ。

それは、麦野が望んだ反応であり、弱い人間が麦野を前にした時に見せる反応に近かった。

「ひとつ、私から敬意を示し提案をしよう。
それを受け入れるか否かは自由にしろ」

風が一層冷たく肌を撫でる。
日常で反射をしていない時ならば、それは自然な事だが、いまは違う。
戦いの最中だ。

無意識でもできる反射という絶対的な盾を一方通行が自らの意思で捨てる事はあり得ない。


つまり、一方通行は“アレイスターの声を聞く”たったそれだけの事に反射に使う脳のごく僅かな領域まで使い切っているのだ。

しかし、人間の脳とは計り知れぬ物に出会った時こそ冷静になれる。
一方通行もバケモンのような力を持っているが、その例にもれない。

一方通行がこの時考えていたのは、弱った芳川桔梗をこんな寒空に放置して置いたら死んでしまうのではないだろうか? ということであった。




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