過去ログ - 一方通行「青紫色の携帯電話」
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987: ◆hZ/DqVYZ7nkr[saga]
2012/04/30(月) 02:49:41.95 ID:+Xee8gWgo

〜〜〜

凍えるような寒さの中、一方通行は倒れていた。
鼠が彼の体の上を走り、地面の冷たさは彼から体温を奪う。

「う、あ……ああ」

何か言おうとするが、それはただのうめき声にしかならない。
彼の目には今煌びやかな街の光がだんだんと消えていく様子が映っている。

―― これは、俺だ。

華やかな輝きも、時間が経てば終わりを迎える。
それを、夏のあの日々の自分と今の自分とに重ねていた。

―― 寒ィ。

光がすべて消えた時、自分は死ぬのだろう。
そう、一方通行は思っていた。

目に映る光はあと二つ。

―― 垣根がいれば、芳川は大丈夫。
垣根がいれば、ミサカは大丈夫。
ミサカがいれば、打ち止めは大丈夫。
上条がいれば、インデックスは大丈夫。
御坂がいれば、佐天達も大丈夫。
佐天達がいれば、御坂も大丈夫。
みんながいれば、この街は大丈夫。

一つ、消えた。

―― 携帯電話、壊さなきゃ良かったなァ……。
もし、もしも叶うならば……今度は五人で一緒の携帯電話が、欲しいなァ。
俺は今度は……。

そして、最後の光が、消えた。
それは消えたのではなく、一方通行のまぶたが完全に閉じただけなのだが……。

―― もう、駄目だな。

一方通行のまぶたには、楽しかった日々が走馬灯のように蘇っていた。
初めて垣根と会った日。
初めて芳川と会った日。
それから、数ヶ月前の日々。
一方通行の瞳からは自然と涙が溢れてきた。
その涙がなんの涙なのかはわからない。
だが、それはとても悲しいものだった。

―― 芳川ァ……。

必死に、芳川の笑顔を思い出そうとする。
だが、思い出せるのは悲しそうに自分の名前を呼ぶ彼女だけだった。

―― 笑っ、てくれ…よ……。

そこで、一方通行の意識は―― 消えた。

「たす…け」

その声を聞くものは……。


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