過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.12
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607: ◆k4qYXRI5uY[sage saga]
2012/05/17(木) 22:40:15.91 ID:c+4/7Sun0

だが最後まで返答は無かった。
上下の感覚が分からなくなって俺は尻餅をついた。視界が0になったのだ、それは見知らぬ土地で目を失ったのとなんら変わりは無い。
果ては本当に自分が地面を歩いているのかが分からなくなる。

だから、手と、足と、目で地面を確認しようと屈む。
屈み、顔を近づけ、手で砂を握り、足を踏ん張る。地面という存在を確認する。

瞬間、俺は心の底から安堵した。

「はっ、はっ、はっ……、ふぅぅ」

荒い息を落ち着けようと目を閉じて、深く良きを吸って、吐いた。

やっと、思考能力が戻ってくる。落ち着いて、考えてみる。

あんだけ叫んだんだ、距離が離れていなければ、いくらこんな霧でも普通は届く。
でも返事は無かった。と言う事は二つの可能性が出てくる。

一つ、それはこの霧が特殊な霧で、遮音性が高く、距離は変わらないのに聞こえていない可能性。
二つ、実際に距離が離れ、声が聞こえないところに居る。そうなるとこれは拉致、さらわれたって可能性。

そしてどちらにも疑問がある。

一つ目の可能性の疑問、それは単純に何が目的なのか。これは相手によるだろう。人間が相手なら目的がある筈だ。魔物が相手ならば、俺達を殺す事が目的。だがそれにも疑問が出てくる、人間が襲ってくる事はあるのか、魔物が目的を持って行動する事はあるのか。

まぁ一つめはいくら考えても無駄だろう。この場合は何よりあやせ達とコンタクトを取る事を優先したほうが良い。

二つめの可能性の疑問、これも単純。何故俺をさらわなかったのか。まだ敵はいるのか。
二人だけをさらったのは何故なのかが気になる。


ここまで考え、俺はやっと立ち上がった。尻をはたき、土埃を払った。

「ま、ここで立ち止まってちゃぁ何も始まらねぇのは確かだったな」

先程の自分の惨めさに失笑すると、地面に落ちている石を選別する、なるべく先の尖っている鋭利な石を探す。
見つけた。

「はぁ、なんでこんな事になったんだかねぇ。だけど、あやせ達に危害を加えたのは、いただけないよな…!!」

ギリ…と歯を食いしばると、手に持った石で思い切り腕を切り裂いた。


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