過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.12
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901:或る彼氏の闘い ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/07/07(土) 17:07:59.63 ID:LUXxJOTRP
 俺が間抜けた顔をしていると、父猫さんがニコニコと笑いながら俺にそう提案してくる。
 い、いや、俺が振られた身なんだけど……。
 ど、どちらにせよ、俺は既に約束してるわけだし……。
 
「……それは、お断りします。まだ、色々とすべき事が俺にはあるって気付いたんです。そのすべき事を終えるまでは、娘さんと付き合う気はありません」

 失礼な事を言っていると承知している。しかし、これはきっぱりと言っておかなくてはいけない。
 それが決意というものではないだろうか。
 
「ふっ……。そうか、そうだな。男には準備というのがある。分かったよ」

 だが父猫さんは納得してくれたようだ。
 ……なんだか、何かを勘違いされている気がするが、納得してくれているのを無理に掘り返す必要は無いだろう。
 
 気が抜けて、ようやく周りを見る余裕が出る。
 母猫さんは、俺を真剣な眼差しでじっと見ていて、日向ちゃんは目をキラキラさせて俺を見ている。
 ……よく分からないが、上手くいったようだ。
 心の中で息を吐く。


「よし。京介くんと言ったか」
「へ、は、はい?」

 まだなんかあんの?
 
「一緒に風呂に入らないか?」

 うぇ? 父猫さん。そのポーズ、若干あの、やらないかみたいなポーズですげえ嫌なんですけど。

「……はい」

 けど断る事なんて出来ない。これで相手がこっちを睨みながらとかならまだ断りやすかったが、凄いにこにこしている人に嫌だなんて返せない。
 
 俺のHPはゼロなんだけどね……。
 
「ふっふ、瑠璃の昔話でも肴に飲み明かそうじゃないか」

 ……。まあ、元彼女の父親と一緒に風呂入るのもそう悪くない、よな。
 
 
 そうして、父猫さんと一緒に風呂で語り合い、男同士でしか話せないような事だったり、ちょっとした相談したりで、凄く仲良くなれた。
 将来、また黒猫と付き合う未来があるのか、それはまだ分からない。
 しかし、この家族とは末永く仲良くやっていければと思う。
 
 ……田村家以外のもう一つの我が家になりそうだな。
 真っ暗な部屋で、外に浮かぶ月を見上げながら想う。
 ……居心地のいい場所が増える事は歓迎だ。
 でも、と俺は目を閉じる。
 ……田村家にも五更家にも、あいつは居ない。
 俺の妹が居るのは、高坂家だけなのだ。
 
 そんな当たり前の事を思いながら、俺は眠りについた。
 
 完


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