過去ログ - 霖之助と魔理沙のパーフェクトなんたら教室デスマッチ with 慧音
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10:やくたみ[sage]
2011/12/01(木) 02:14:17.08 ID:BP+lHK1ao
「気を取り直して、さらにこれだ!『新訂 福翁自伝』福沢諭吉(岩波文庫)!」

 投げつけられた小さな象牙色の本を魔翌理沙は素早く両手で受け取り、
魅入られたように激しく目を動かしながらその本に目を通した。

「こ、これは福沢諭吉本人の生涯にあった印象的な出来事を散文的に、
今ならエッセイと呼ぶ形式で連々連綿と惚れ惚れするような流麗な文章で描かれていて大変楽しく読ませながらもその諭吉の積極的で先進的な考えや行動は現代においても人々が学ぶべき点は多いだろう!」

「なあ霊夢。これは、霖之助が勝っている、ということでいいんだな?」

 幾度も本を投げつけられてはその本を一瞬で読んで、一息に感想を述べ連ねる魔翌理沙の様子に非現実的な違和感を覚えながら、私は霊夢に尋ねた。

「ええ、これはもう大差ね」

 私はそれ以上言葉を続けられなかった。

 霖之助と魔翌理沙のそういったやり取りをかれこれ十数回繰り返しただろうか、魔翌理沙は唐突に膝から崩れ落ちた。

「もう。勘弁してくれ。私の負けだ、私は、賢くなっちまった」

 その細い腕から、大量の本が雪崩のように滑り落ちた。顔を伏せて語られるその声は鼻声だった。
しばらく教室に沈黙が訪れたが、霖之助が魔翌理沙に歩み寄り、手を差し伸べた。

「ほら、立つんだ」

「香林、完敗だぜ」

 彼と、彼の手に掴んで立ち上がる魔翌理沙に、後ろの観客から惜しみない拍手が与えられた。

「よく頑張ったわ魔翌理沙」

 隣の霊夢も涙していた。


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