過去ログ - 霖之助と魔理沙のパーフェクトなんたら教室デスマッチ with 慧音
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:
やくたみ
[sage]
2011/12/01(木) 02:18:39.67 ID:BP+lHK1ao
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縁側の向こうの漆喰や藁葺きが紺色がかって見えるようになっている。
霖之助は時折今まですらすら動いていた筆を止めて、冊子に顔を近づけて目を細めた。
私が行灯に火を点けようと火打金を持ち出してくると、ずっと黙っていた霖之助が口を開いた。
「僕はもう失礼しよう。続きはまた今度にするよ」
「今、明かりを入れるぞ。ゆっくりしていくといい」
「寺子屋の油は子供たちのために使うべきであって、僕の趣味に使うことはない」
彼を言い負かす言葉を探している内に、彼はカチリと乾いた気持ちのいい音を立てて万年筆に蓋をし、
それを懐に入れると冊子とわら半紙を持ち上げておもむろに立ち上がり、
それから冊子を律儀に本棚の元あった場所に戻し、すたすた土間の方へ歩き出す。
私はなんとなく彼の後ろに付いて歩き、あたかも見送りをしているようだったが、
彼が行う帰り支度の一挙手一投足を前に、
胸騒ぎのごとく徐々に迫り来る喪失感と、焦燥と混乱の混じった感情を味わっていた。
「霖之助」
そしてまとまらぬ頭のまま、彼が土間で足を止めた所で呼び止めた。
「どうかしたかい」
すぐ目の前で振り向いた彼は、私を見下ろす格好になった。
「実は、夢を見てたんだ」
困り果てた私の口から出たのは、突拍子も無い言葉だった。
けれど口にしてみると、なにか自分の想いの形を言葉に直せそうだった。
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