2:唯「けいむしょ!」[saga sage]
2011/12/03(土) 22:05:17.93 ID:+hCfvYYc0
律「おおっ、今日もいっぱい抜けてんなぁ」
午前6時40分、起床。
布団をたたんで片付けたら、すぐに房内の掃除。
10分後の6時50分には点検だから、ちょっと忙しない。
律「なあ。これ、梓の陰毛だろ」
梓「違いますよ」
りっちゃんが毎朝毎朝、飽きる事無く繰り返す話題はいつも体毛の事。
小中学生レベルだよー、まったくもう。
でも、慣れてしまった今となっては日課みたいな感じ。
律「これは唯の陰毛だろ。なあ、そうだよな」スッ
唯「ん〜?」ジーッ
唯「違う。私のじゃないよ」プイッ
律「絶対そうだって。ほら」
唯「違うよぉ! 私のじゃないってば!」
どうでもいい事をみんな必死で否定するんだよね。私も含めて。
あ、申し遅れました。私は平沢唯といいます。
見ての通り、この某女子刑務所の214号室に囚人として服役中です。
そして、私と同様に朝の清掃に励んでいる四人。
律「やっぱムギの陰毛はわっかりやすいよな。金髪だし」
掃き掃除をしながら、お決まりの体毛話を振ってくるのが田井中律ちゃん。通称、りっちゃん。
214号室の房長で頼りになる姉御って感じ。顔が広くて面倒見がいいから、他の房でも彼女を
慕う人は多いんだよね。
暴行とか傷害とか、そんなような罪状らしいけど、全然そんな風に見えないなぁ。
澪「もう! マジメにやれ、馬鹿律!」ゴチン
同じく掃き掃除をしながら、りっちゃんに拳骨したのが秋山澪ちゃん。通称、澪ちゃん。
りっちゃんとは刑務所に入る前からの友達らしくて、刑務所の中でも仲良しさん。少し羨ましいな。
罪状は大麻取締法違反、覚醒剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反と、薬物数え役満。
筋金入りのジャンキーさんだね。
紬「あらあら、今日も二人は仲良しさんね」ニコニコ
りっちゃんと澪ちゃんのやり取りを見ながら笑っている拭き掃除担当が琴吹紬ちゃん。通称、ムギちゃん。
大企業の社長令嬢らしくて、いつでもおっとりぽわぽわ。他のみんなのお世話が大好きで、
房のお母さん的存在。
ムギちゃんの罪状は何だか難しくて忘れちゃった。いろんな企業から何億円も騙し取ってたんだって。
梓「何してるんですか、先輩方。あと三分で点検ですよ。早くしないと」
便所掃除を終わらせて、房内の掃除を手伝い始めた彼女は中野梓ちゃん。通称、あずにゃん。
私達五人の中では一番年下で、ここに収監されたのも一番後。だから私達の事は必ず“先輩”って
呼ぶんだよ。気にしなくていいのに。
あずにゃんの場合は長年の間、食い逃げと食料品万引きを繰り返して、被害総額は一千万円以上。
しかも裁判では「生きていく為にやった」って一切反省の色を見せなかったから、刑期は相当
長くなっちゃったみたい。
とまあ、これが私の仲間、214号室の面々。
みんな犯罪者とは思えないくらい、いい人達ばかり。
この刑務所の、この房で本当に良かった。出所まで何とかやっていけそう。
え? 私はどうして刑務所に入る事になったのかって?
私の場合は銃砲刀剣類不法所持と火薬類取締法違反なんだけど…… ん〜、その話はまた今度ね。
28Res/32.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。