過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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33: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2011/12/10(土) 19:23:12.36 ID:muetwuoBo

「ぐすっ、長い人生の中で、人は色々な道へ進んでいきます。ですから出会いもあれば別れもあるなんて言葉があるのです。
 でも、だからといって、寂しいことには変わりないのですよぉ……!!」

「うぅ……こもえぇ……」

「先生やクラスのみなさんは、シスターちゃんとの楽しかった思い出は絶対に忘れません。離れ離れになっても、そういった所で人は繋がっていくのですよ」

「私も……私も絶対忘れないよ……! みんなの事、どんなに小さな事でも、絶対忘れたりしないよ……!!」

「ふふ……やっぱりシスターちゃんは良い子なのです。覚えていてください。どの道を選んでも、先生は……みなさんは……ずっとシスターちゃんの味方なのですよ……!!」

「うん……うん…………!!」

小萌はインデックスを抱きしめて泣いて、そして笑っていた。
吹寄や姫神、そしてクラスメイト達はその光景を微笑みながら眺めている。中には二人のように泣き出す者もいる。

そして上条も、同じ様に微笑んでいた。

妙な感じだった。
自分は確かに笑っている。それは分かる。
しかしその微笑みは周りの人達が浮かべているものとは違う。何となくそう思った。
まるで真っ白なキャンパスに落とされた黒い絵の具の様に、自分だけ溶け込めず浮いているような。

そんな気がした。

「はは、先生が涙もろいって話は本当みたいだな」

上条は笑顔を崩さずに、口から言葉を無理矢理にでも吐き出す。
何となく黙っていられなかった。
黙っていると、自分がこの輪からどんどん浮いていくような気がして。
そして何故こんな気持ちになるのかも分からなくて。
とにかく、とても辛かった。

そうやって自分の口から出てきた言葉は、大した意味もない言葉だった。
その言葉は、まるで他の誰かが言ったかのように上条の耳のぼんやりと届く。

「…………意外と貴様は何ともないのね」

「へ? あー、俺だって寂しくないってわけじゃねえよ。まぁでも仕方ねえからな」

「それはそうかもしれないけど……」

「上条君がそう割り切っているなら。私は何も言わない」

妙な感覚が消えない。
まるでこれは何かの劇で。
決められたセリフをただ淡々と読み上げる。
誰かがこのセリフを言ってきたら、このセリフで返す。そんな感じに全ては決まっているようで。



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