過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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418: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/08/21(火) 10:30:42.00 ID:g/v3slEao

ただ自分の欲望に忠実に。
彼女にも、インデックスをここから遠ざける理由はちゃんとある。
それは彼女なりに、この街のためを思った上での考えだ。

それでも、結局そんなものは建前に過ぎない。

彼女の根底にあるものは、あくまで個人的な娯楽快楽だ。
そのための都合のいい理由が欲しかった、それだけなのかもしれない。

対面に座る少年でさえ、彼女のその様子にどこか引いているようだった。

「……まぁいい。俺としては例の契約を守ってくれんならそれでいい」

「私は魔法少女にはならないわよぉ?」

「勝手になってろ。とにかく俺にとって重要なのは――」

「分かってる、第一位さんの事でしょぉ? 私、記憶力はいいのよぉ」

少年の目が細くなる。
これが、少年の狙い。
彼にとっても、この街に例のシスターが居座るのは好ましくないことだ。

しかし、それよりもはるかに高い優先度で、達成すべきことがある。

「彼には私のナイトとして働いてもらうけど、この件が済んだら後は好きにするといいわぁ。
 でもでもぉ、それまではあなたも私のこと手伝ってねぇ?」

食蜂の言葉に、少年は口元を歪めて笑う。
元々、彼はこうやって誰かに使われるという事は心底嫌う。

しかし、それも今の目的と天秤にかければ簡単に浮き上がる。
自分の気持ちを曲げてでも、どんな事をしてでも、彼の最優先事項は“あの日”からただ一つだった。
あの日叶わなかった目的を、絶対に達成するという――。

そのためなら、女の犬でも何でもなってやると。
それだけの強く、そして酷く捻れた願望だ。


「――いいぜ、期間限定ならナイトでも何でもなってやるよ。ただし、報酬は高くつくぜ?」

「期待してるわぁ、垣根さん♪」


窓から見える青空は爽やかで、こんなにも綺麗なのに。
それを黒く塗りつぶす空間が、そこにはあった。


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