過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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432: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/08/21(火) 10:53:15.39 ID:g/v3slEao



***



美琴が衛星カメラを使って何者かを発見し、窓から飛び出した直後。路地裏で固法美偉を気絶させる少し前。
麦野しか居ない部屋に、透明な槍が隣の部屋から壁を突き破って真っ直ぐ伸びてきた。その先には例のPCがある。
ここへ来た目的、ハッキングを物理的に封じるためだ。

「あ?」

麦野は腕を一振りすると、白く発光した盾が出現し、ガキィィ!! と槍の動きを止めた。
原子崩し(メルトダウナー)の応用で、防御に特化させた使い方だ。

そして麦野は靴底近くから光線を発射し、高速で槍が放たれてきた壁の方へ突き進む。
壁には、威力を極限にまで凝縮したかのように綺麗な円形の穴が空いていた。すぐに麦野がそこを思い切り蹴ると、人一人が通れるくらいの大穴になった。

隣の部屋に入る。
どうやら物置か何かのようで、ダンボールがいくつも高く積み上げられていて視界が悪い。
当然不意打ちに備えて警戒しつつ入ったのだが、明らかに怪しい人影が隠れもせずに部屋の中央に堂々と立っていた。

黒いパンク系の服に身を包んだ、12歳程度の少女。基本は黒髪だが、耳のあたりだけアクセントとして金色に染めている。
黒夜海鳥。一方通行の演算パターンなどを植えつけた暗闇の五月計画の被験者で、レベル4「窒素爆槍(ボンバーランス)」の能力者だ

「……ったく、お前もやられてんのかよ面倒くさい」

麦野は手首を曲げてポキポキと鳴らしながらぼやく。
まるで、近所の猫を追い払うかのような余裕を見せている。

しかしその時、突然天井が崩れ落ちた。

「ッ!!」

ガレキと一緒に落ちてきたのは、ニットセーターを着た茶髪のボブの少女。
アイテムの一人である絹旗最愛だ。

絹旗は落下しながらも正確に麦野の脳天目がけてその拳を振り下ろす。
麦野は軽く横へ飛んで回避するが、床に着地した絹旗はすぐさまこちらへ向かって追撃を放ってくる。
真っ直ぐ放たれた窒素で強化された拳を、麦野は再び発光する盾を出すことで防御。

すると今度は全く別の方向から窒素の槍が突っ込んできた。
黒夜の攻撃だ。

「無駄なんだよ!!!」

麦野はこれも盾を出して防御する。
一応はちゃんと防げたのだが、正直今のは少しでも反応が遅れていたら危なかった。
その証拠に、窒素の槍は麦野の体からほんの数センチの所で止まっている。

「それはどうだろうな?」

黒夜がニヤリと笑った。
無数の腕が彼女の脇腹辺りから生えてきて、槍が伸びている右手に添えられた。
すると。

「ちっ……!!!」

「くく、さすがレベル5。これでもまだ足りないか」

ガギギギギギギ……と。
槍の出力が一気に跳ね上がり、盾を貫こうとしてくる。
黒夜は掌から窒素の槍を生み出す能力者だ。その為、こうして能力を適用できる義手を使う事で威力を増大することができる。
これにはさすがの麦野も顔をしかめ、全力で防ぐ。

だが、敵は一人だけではない。
黒夜の方の防御に気を取られた瞬間、絹旗の拳を受け止めていた盾が破壊され、窒素で強化された拳が麦野の左腕にめり込んだ。
ベキベキと、不快な音が響く。

「ぐぁ……ッ!!!」

そのまま麦野は吹き飛ばされ、床を転がった。
傷んだ左腕はなんとか動く。まともに食らえば確実に骨を砕かれていただろうが、その前に防御していたのが影響したのだろう。
しかし少し動かすだけでも相当な痛みが走る辺り、ヒビくらいは入っていそうだ。

絹旗と黒夜はゆっくりとこちらへ歩いてくる。
 


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