過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2012/11/28(水) 00:32:16.73 ID:NuCo0RDNo
***
さらに後方の車両。
やはり四人がけの椅子に二人でかけている少年達が居た。
一人は真っ赤な瞳に白い髪。
全体的に黒っぽい上着にジーンズを着た学園都市最強、一方通行。
もう一人は金髪でどこかホストのような服装をした少年、垣根帝督だ。
当然というべきか、二人の間には危険極まりない空気が漂っている。
「おい」
「あン?」
「何度も言ってっけどよ、俺の視界に入ってんじゃねえよ」
「俺だって許されンなら今すぐオマエを窓から放り出してェとこだ」
「はっ、お利口さんだな。いつからテメェは犬のように従順になった?」
「あいにく反抗期は抜けたからな。オマエと違って」
「コノヤロウ……」
周りに他の乗客は居ない。
といっても始めから居なかったというわけではなく、ずっとこんな状態の二人と同じ空間に居るのが耐え切れずに他の車輌へ移っていった結果だった。
騒ぎを大きくしないための隔離対象として含まれる事になった垣根。
今現在彼にはカエル顔の医者が開発したという能力封じの腕輪がはめられており、その効果は十分にあるようだ。
だが、例え能力が使えないとしても暴れ出さないとは限らない。
それに何かの拍子で能力が開放されてしまうという事態も無いとは言えない。機械は絶対じゃないからだ。
そんなわけで、垣根の監視役として一方通行が割り当てられたというわけだ。
「テメェはいずれ保てなくなる」
「なンだ急に」
「所詮は俺と同類なんだよ。光の中じゃ生きていけねえ。テメェの本質はドス黒い悪なんだからな」
「……そォかもな」
「はっ、分かっててクソ温い世界に浸ってんのか?」
「人間、堕ちンのは簡単だ。ただ何も考えずに突き進めばいいだけなンだからな。
闇の道を選ぶなンてのは聞こえはいいのかもしれねェが、結局は真っ当な光の世界から逃げてるだけなンだよ」
一方通行はブラックの缶コーヒーに口をつける。
確かに、この世界で生きていくのは疲れる。本質的に自分に合っていないのではないかとも思った。
ただ、だからといって切り捨てるのは子供のする事だとも思った。
やりたい事だけをやっている事なんてできない。
裏の世界で好き放題に生きるのは余計なことを考えなくて楽だったかもしれない。
だが、あの世界では決して手に入らないものがここにはある。
この世界は疲れる。余計なことを色々と考えなければいけない。
それでも一方通行はもう以前までの生活に戻りたいとは思わない。
あの頃よりも今はずっと満たされている、ちゃんと生きている、そう感じられる。
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