過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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735: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/07/16(火) 17:32:46.23 ID:wF64hV+jo

上条は溜息と共に頭をトントンと指差すと、

「記憶だ記憶。ほら、俺って記憶なくて初めは自分の名前も分からなかったくらいだしさ、当然誕生日も覚えてなかったんだ。
 その後の生活で何だかんだ書く必要がある時とかあったから確認はしたけど、なかなか覚えられなくてな」

「あっ、そっか。ごめん」

「いや、いいって。インデックスだって同じようなもんだろ?」

「うん、それはそうだけど……私っていくつくらいに見える?」

「んー、小萌先生の例もあるしなぁ。とりあえず見た目だけなら俺より少し下って感じじゃねえか?」

「むっ、なんだか気に入らないんだよ。確かに見た目がちょっとだけ子供っぽいっていうのは認めるけど、人間大事なのは中身かも」

「じゃあ小萌先生みたいに実はいい大人だって?」

「……それはそれでちょっと」

「だろ? 女の子は若いほうが何かと得だと思うぜー。あ、今の小萌先生には絶対に言うなよ」

念の為に釘を差しておく。
もしこんな事を本人に言えばそれはそれはショックを与えてしまうだろうし、それがクラスメイトなんかにバレたら確実に処刑されるからだ。
そもそも上条の出席日数がギリギリで、補習までして何とか進級させようとしてくれる先生にそんな仕打ちはできない。

そこら辺の事情を知ってかどうかは分からないが、インデックスも苦笑いを浮かべながら頷く。

「それにしても、とうまの誕生日かぁ。お祝いしないとね!」

「いや別にいいって。それよりその日はインデックスが学園都市に居る最終日だろ? そっちの方が大事だ」

「流石にその日が誕生日の人にワガママばかり言えるほど私も図太くないかも。こういう時は素直に受け取っておくんだよ。
 みこととかみさきも呼んでどこかでパーティでもしようか? 他にも呼べばたくさん集まると思うんだよ!」

「はは、そんな大袈裟な。だいたい、インデックスはそれで満足なのか?」

「そんなの当たり前なんだよ!」

にっこりと満面の笑みを浮かべて即答するインデックス。
その笑顔は暗い洞窟ではとても眩しく、それでいて暖かくて上条の頬を緩ませる。

そうだ、彼女はいつだって上条のことを想ってくれる。
だから、誕生日だという事を話せば、自分のことよりも優先して祝ってくれようとするのは不思議ではないだろう。

少し失敗したなぁ、と思う上条。
上条としては最後の日くらい、自分のことよりもインデックスのために何かしてやりたい。
誕生日なんていうのはこれから何度もくるものだが、彼女が学園都市に居られる日というのは、もしかしたらその日で最後になる可能性だってあるのだ。

しかし、すぐに頭を振る。
そんな事を考えるのは自分らしくない。彼女がもう学園都市に来られなくなるなんて事は万に一つにもありえない。というか、そんな事にはさせない。
少なくとも年に一度の誕生日よりかは多く来られるようにはしてみせる。

「それじゃあ祝ってもらおっかな。プレゼント期待してるぜ公務員さん」

「ふふ、分かった。楽しみにしていてほしいんだよ」

洞窟の外は雪が止む気配はなく、この中の気温も決して暖かいとは言えない。
しかし、上条にとってはこうして彼女と寄り添って笑顔で話しているだけで、そんな寒さなど気にならなかった。



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