過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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923: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/01/22(水) 23:59:38.24 ID:guTjdYBwo

ハッキリと、そう告げる。
それだけ上条の心は固まっていて、そしてそれを彼女に伝える必要があった。
彼女が何を考えて確認しているのかは分からないが、応えなければいけないという事は分かった。

白井はゆっくりと瞳を閉じると、静かな声調で尋ねる。

「“御坂美琴と彼女の周りの世界を守る”という約束についてはどうするつもりなんですの?
 まぁ、その約束を交わした相手はわたくしではありませんから、あまりどうこう言う資格はないのかもしれませんが」

「それは変わんねえよ。俺は今までどおり、御坂とその周りの世界を守っていく。
 振ったくせにとか言われても構わねえ、俺にとってアイツは大切な友達だってのは変わんねえからな」

「……ですがそれは、何もお姉様に限った話ではないでしょう。
 例えその時初めて出会った人に対しても、あなたはそれこそ命を賭けてでもその方を守る。違いますか?」

「それは……そう、かもしんねえけど……さ……」

「別に責めているわけではありませんわ。あなたのそういう所も含めて、お姉様はあなたの事が好きだった……いえ、好きなのでしょう」

彼女は穏やかに微笑んで言った。
こんな彼女の表情を、上条は初めて見たような気がする。
彼女にとって自分は単なる邪魔者でしか無いと思っていた上条だったが、それだけではないのかもしれない。

それは、とても嬉しい事だ。
相手が誰、という問題ではない。
例え誰からであっても、自分を認め少しでもよく思ってくれる人の存在というのは大切なものだ。

「ありがとうございます、わたくしが聞きたかった事はこのくらいですわ。
 元々そこまで疑っていたわけではありませんでしたが、いつも通りのあなたで安心しました」

「俺からすればお前の方がいつもと違いすぎて不安になるけどな」

「あら、そんなにドロップキックをくらいたいんですの?
 あなたにそんな趣味があったとは……お姉様に報告した方がいいですわね。いつまでも変態の事を気にしていても仕方ない、と」

「お前が言うなお前が! あと俺は何もドロップキックをくらいたいわけじゃねえ!」

「ふふ、分かりますわ。やはりお姉様の電撃にくらべてばそんなものでは満足できないでしょう」

「分かんねえよ、人を勝手に変態の理解者みたいにするな」

魔神の理解者になる事はあったが、変態の理解者なんかには絶対になりたくない上条。
そんな上条の主張が伝わっているのかどうか分からないまま、白井は制服のポケットから何かを取り出して上条に渡した。

「せっかくのデート中にお時間を取らせてしまったせめてものお詫びです」

「おうサンキュ……ってこれ学園都市食べ歩きチケット!?」

上条がこんな事を思うのは極めて稀なのだが、幸運にもそれはこれからのデートに予定していたものだった。
チケットには何種類かあり、インデックスにどれがいいか聞いて買うつもりだったが、今手にあるものは最高級のものだ。

「以前、常盤台でのちょっとした催し事の際に頂いたものですが、あなたの方が必要でしょう」

「い、いいのかこれ……すげえ高いもんだろ……」

「そこまで大袈裟になる程でもないでしょうに。それにお姉様を振ったのです、あなたにはちゃんとデートを成功させインデックスさんに向き合う義務がありますわ」

「……あぁ。ありがとな白井」

上条とインデックスの恋愛は、様々な事情が絡み合って、とても手放しで応援できるようなものではないはずだ。
だが、こうして実際に手を貸してくれる人はいる。
もちろん彼女だけではない。今この状況に至るまで、上条は色々な人に助けられてきた。

それは恋愛に限った話ではなく、いつだって上条には手を貸してくれる誰かが居た。
だから、こうして前を向ける。どんな事に対しても真っ直ぐ挑んでいける。

やっぱり何だかんだ言っても、自分はかなり幸福な人間だと、上条は思う。

「あ、そうですわ」

上条の表情を見た白井は、満足そうな笑みを浮かべていたが、ふと何かを思いついた表情になって口を開く。
最後に何かアドバイスを貰えるかもしれない、と期待する。インデックスと同年代の少女の言葉はとても参考になる。

しかし。

「インデックスさんの件が片付いてからでもいいですから、後でわたくしにお姉様をメロメロにさせて禁断の愛に身を委ねさせるコツを教えてくださいな」

「そんなもん知るか!!!」



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