過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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949: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/03/04(火) 07:38:55.10 ID:4ipaVk6zo

彼女は少し目を丸くしてこちらを見る。

「えっ、とうま、必要悪の教会(ネセサリウス)で働きたいの?」

「そりゃ今すぐには無理ってのは分かってる。だけど、まぁ、選択肢としてはあってもいいだろ」

「……とうま英語話せないじゃん」

「勉強する勉強する。今だってそれなりにやってんだぜ、英語。今時はケータイのアプリにもそういうのがあってさ」

「それでも、ちょっとオススメはできないかも。やってる事も危ない事ばかりだし」

「そういう事には慣れっこだっつの。それに不本意ながら、お前らとは結構一緒に仕事もしたしな」

あまり考えなかった事だが、いざこうしてみると中々いい考えかもしれない。
インデックスは自分の力を活かせる場所として必要悪の教会(ネセサリウス)を選んだ。その決断を曲げさせる事はできない。
それなら、自分が彼女についていく形でイギリスへ行けばいいのではないか。

もちろん、今の世界の事情からそんな事が許されないという事は分かっている。
元々、一度科学と魔術の線引をハッキリさせるという目的の下、上条とインデックスは離される事になった。
だが、その後の話し合いできっとまた会えるようになると信じている。その時、上条はどんな立場に居たいかという話だ。

魔術を使えないというのが限りなく大きなネックだが、この右手があればそれなりにやれる事もあるのではないか。
一方で、インデックスは中々首を縦には振らない。

「うーん……でも……」

「なんだよ、もしかして俺と一緒にいるのが嫌だとかってんじゃねえだろうな」

「そ、そんな事はないんだよ! とうまには危ない事してほしくないからで、私だってとうまが居てくれるなら……」

最後の方は口ごもってしまい何と言ったのかは聞き取れなかった。
ただ、恥ずかしがりながらも、若干嬉しそうに頬を緩めるその表情はとてつもなく可愛らしいものだった。
あまりの可愛さに、上条も言葉を失い黙ってしまう程だ。

その微妙な沈黙の間。

インデックスが上条に対して抱いている、「自分の事を女の子として見ていない」という誤解を解くタイミングは今かもしれない。
実のところ、その機会をずっと伺っていたのだ。流石にこのままではダメだ。

しかし、そういった空白の瞬間を狙ったかのように、


「良い雰囲気のところ申し訳ありませんが、少々お話よろしいですか?」


耳触りのいい、柔らかい男の声が聞こえてきた。
おそらく、女子はこんな声で囁かれればたちまち鼓動を高鳴らせるのだろう。
上条にはそういう趣味はないので、間違ってもそんな事はないのだが。

そのセリフにはどこか聞き覚えがあったが、すぐに白井黒子にも同じように話しかけられた事を思い出す。
自分達の状態を確認した上条とインデックスは、バッとすぐに離れた。

「う、海原……か?」

「偽物ですけどね。まぁあなたとは初対面からこの姿でしたし、その呼び名で構いませんが」

常盤台中学の理事長の息子。さわやか系のイケメン。
ただし、それは変装である事を上条は知っている。その実はアステカの魔術師だ。

そして彼一人というわけではないらしく、隣には仏頂面を浮かべた少女がいた。
肌は浅黒く、ウェーブのかかった黒髪が肩まである。
インデックスはようやく顔の赤みが引いてきたようで、コホンと咳払いをして尋ねる。

「えっと、そっちの人もアステカの魔術師なのかな?」

「……あぁ、ショチトルという。私としては不本意極まりないが、コイツのワガママに付き合ってやってる感じだ」

「ワガママって……もしかしてデートとかか?」

「まぁそんなところですいったぁぁ!!!!!」

言葉の途中で、海原は隣のショチトルに思い切り足を踏まれる。

「……と言いたいところですが、あいにくそういうものでもないんです。自分はあなたに話があるんですよ、上条さん」

「俺に話……ってのは……」



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