過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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971: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 02:42:03.26 ID:wiguRyO8o


歯が頭にめり込む、あの感触。
あまりにも躊躇なく、覚悟もないままの出来事だっただけに、反応が遅れる。
まるで他人事であるかのように、自分の頭に少女が噛み付いているという状況を理解していく。

そして、時間と共に追いついていくのは理解だけではない。
ズキズキ、ズキズキズキズキズキズキン! と。


「ひぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


上条は一つ見落としていた。

確かにインデックスは話を聞くとは言っていた。
ただし一度も、噛み付かないとは言っていない。

つまりは、とりあえず噛み付いた後で話を聞いても、彼女が嘘をついた事にはならないというわけだ。



***



「大体とうまはいつもいつもいつもいつも!!!!!」


どのくらい経っただろうか。
インデックスの不満はいくらぶちまけても収まることを知らず、未だに勢い良くまくし立てている。
上条はひたすら縮こまって、シスターさんの説教を受け止めるしかない。

ちらりとカーテンの隙間から外を見てみると、すっかり日の落ちた夜の街に、かなりの量の雪が降っていた。
この前まで滞在していた群馬の山岳地帯ならともかく、西東京でここまでの雪というのも珍しい。

と、そんな事を思っていたが、ここで上条の意識が逸れている事に気付いたインデックスは鋭い視線を投げかけてくる。

「……とうま、聞いてるのかな」

「お、おう、聞いてる聞いてる! いや、ホント、悪かったって。だけどほら、一応無事にこうして戻って……」

「何か言ったかな?」

「ごめんなさい何でもないです」

「はぁ……このやり取りも、もう何度繰り返したか分からないかも。まぁ、でもこの辺でいいや」

ようやく解放されるようで、安堵の溜息が漏れそうになるのを何とか堪える。
そんなのを見られれば、お説教が更に数時間くらい追加されそうだ。

それからやっと上条は落ち着いて部屋を眺めて、ふと疑問を口にする。

「そういえば、お前ここで誰かと話してなかったか? まだ半分寝てた時にうっすら聞こえてきたんだけど」

「……えっと、ほら、お医者さんと話してたんだよ」

すると、まるでこのタイミングを見計らっていたかのように、病室にノックの音が入り込んできた。
上条は反射的に返事をする。

「はい、どうぞー」

「ん、失礼するね?」

入ってきたのは、いつものカエル顔の医者だった。
検診か何かかと思ったが、何やら大量の荷物を乗せた台車を転がしてきている。

「……えっ、俺、そんないくつも機械を使って検査しなきゃいけない程ヤバイんですか?」

「ははは、違う違う。これはプレゼントだよ」

「精密検査数時間プレゼントっていうドクタージョーク?」

「あぁ……君がピンとこないのも仕方ないのか。今日は君の誕生日だろう?」

「あっ!」

今日は上条の誕生日。
こうしてうっかりすると忘れてしまう程、あまり実感の湧かない事だ。
おそらく記憶を失う前はそれなりに特別な日だったはずで、少し寂しさも覚える。


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