過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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989: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 02:52:35.19 ID:wiguRyO8o

テーブルの上、手紙が置いてあった場所のすぐ近くには、明るい色の小さな紙袋が置いてあった。
今まで気が付かなかったのが不思議なくらいで、それだけ慌てていたのかもしれない。

今は、不思議と落ち着いていた。

なぜだかはよく分からない。
手紙を読み始めるまでは、確かに焦っていたはずだ。
しかし、読み進めていく内に、その焦りはどんどん引いていくのを感じた。

紙袋から中身を取り出す。
出てきたのは、綺麗なブルーの石のブレスレット。
さっそく右腕に付けると、妙にしっくりときた。

(人生の重要な局面……か)

それは今までも沢山あったと思う。
いつだって上条は、その局面局面に全力で挑んでいった。

そして、今この瞬間も。

インデックスはこの別れ方が最良だと判断して、決断した。
あのタイミングで上条を気絶させたのは意図的だった。だとすれば、言葉の先は聞きたくないという意思表示でもある。
上条が次に言う事が分かって、それでいて拒否したという事にもなる。

その事実は、ほとんど彼女の返事だと言ってもいいかもしれない。
それでいて、波風はそれ程立たなく、無難な展開だと言えるかもしれない。
今の心地良い関係のまま別れる。彼女の精神状態を考えても、理解できる判断だ。

だけど、納得はできない。

上条は立ち上がった。
その直後に、何とも物騒なものを視界の端、枕元に発見する。
一方通行からのプレゼントである銃だ。

「……なんつーもんを置いてってんだよアイツ」

上条は苦笑いを浮かべ、それをベルトに挟み込んだ。

ここから先は、インデックスの為ではない。
彼女の事を考えるなら、その選択を尊重するべきだ。

しかし、インデックスが選んだように、上条にも選ぶ権利と義務がある。
一方通行はそれが言いたかったのだろう。

朝まで目覚めないように計算された魔術を受けても、こうして上条が意識を取り戻している理由。
そして、体をふらつかせていた一方通行。その二つはすぐに繋がる。
彼が、その解析能力を使って上条を目覚めさせたのだ。その手順の中で、どうしても魔術も使わなければならなかった。

そうやって得る事ができた選択肢を、上条は決して無駄にはしない。
今、自分が何をしたいのか。
彼女の為に、だとかは関係ない。上条はどうしたいのか。

考えるまでもない。
それはもう、既に出した結論だからだ。



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