過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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991: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 02:53:45.88 ID:wiguRyO8o

遠回りしている時間はないはずだ。
アンチスキルの目が届かない、道なき道を探せばやり過ごす事はできる。
ただ、食蜂の言葉通りだとすれば、交通整理はここだけではない。その度にいちいちそんな事をしていれば、大きなタイムロスとなってしまう。

上条が黙り込んでしまうと、食蜂は軽い口調で話し出す。

『だから、私はあなたに選択肢を与えたいって言ったのよぉ』

「選択肢って……もしかして助けてくれるのか?」

『えー、いやよぉ。なんでわざわざ自分の好きな相手と他の女の恋愛応援しなきゃいけないのよぉ。でもぉ……』


『“強制力”があるなら、仕方ないわよねぇ』


一瞬彼女の言葉が分からず、上条はただパチクリと目を瞬く。
別に彼女は上条に対して絶対に服従しなくてはいけないなんていう事はないだろうし、むしろ上条の方が振り回されっぱなしだ。

……だが、やがて右腕に巻かれたタンザナイトのブレスレットを見て気付いた。
誕生日プレゼントを見て、気付いた。

そう、今日は上条の誕生日だ。
うっかりするとすぐ忘れてしまうような事だが、嬉しいプレゼントの数々を忘れてはいけない。

そして、彼女の……食蜂操祈のプレゼントはなんだったか?


「操祈、チケットの効果を使う。インデックスの元へ行きたいから手伝ってくれ」


その言葉に、彼女は笑った。
電話越しでも、その笑顔が浮かぶように、クスクスと。

『もう、まさかそんな使い方をするなんて、上条さんも酷い人ねぇ』

「……悪い。でも、俺」

『いいわぁ、どうせえっちな命令とかは期待してなかったしぃ。
 それに、これはこれで好感度上がるし、あながちメリットが全くないっていうわけでもないのよねぇ』

「あぁ……ありがとうな、操祈」

『ふふ、どういたしましてぇ。それじゃ、インデックスさんに追い付きましょうかぁ。もう手は回してあるから、大船に乗った気でいていいわよぉ』

「えっ、もう何かしてくれてんのか!?」

『えぇ、時間ないしぃ。まず、インデックスさんが向かっている先は第二十三学区の最終ゲート。
 出発予定時刻は午後十時、今から約一時間後ねぇ。足が必要だと思うけど、そっちの方はもうすぐ来るはずよぉ。
 それと、上層部による妨害工作も、何とかしてくれそうな人に声かけておいたわぁ』

「お……おう……サンキュ……」

一気にまとめて説明してくる彼女に、上条はただ生返事しかできない。
確かに、彼女の能力を使えば情報収集も連絡伝達も迅速にできたはずだ。

だが、いくら何でも手を打つのが早すぎないだろうか。

(もしかして、俺が頼む前から……最初からそのつもりで……)


そこまで考えた時、ブォン! と大きな音の直後、鋭いブレーキ音と共に一台の車が上条の近くに停車した。
積もり始めている雪が飛び散り、横なぎにふりかかる。

「上条、乗れ!」

「は、浜面!? 滝壺も……」

「話は後。時間がないから速く」

慌てて後部座席に乗り込む。
浜面はそれを確認すると、一気にアクセルを踏み込んだ。
一瞬の躊躇もない。



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