過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
1- 20
360: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/13(火) 05:49:09.67 ID:3MnLayldo
いつまで経っても表情が変わらない彼の姿が、歪んだ。
にわかに鼻が詰まり、思う通りに空気を取り込んでくれない。
瞼が熱く、段々と、眼前の彼の姿が更に歪む。

勇者「………ごめん、な」

耐え切れずに放った言葉を引き金に、涙が溢れ出した。
頬を滝のように伝う涙が、石畳に染みを作る。
しゃくり上げると、つられて洟が垂れ、呼吸を著しく阻害された。
声を激しく上げる事は無い。
それでも、普段の彼女を知る者には想像すらできない、取り乱した泣き顔。
何万年もの年月を生きた彼女を、ここまで動揺させる言葉があるのか。
かつて彼女を崇めていた民も、思わなかっただろう。

堕女神「……うっ…っく……うぅ……」

声を出さないように、洟をすすりながら泣く彼女に、勇者が近づく。

勇者「……ごめん」

彼女の頭を優しく引き寄せ、胸へと抱く。
暖かさと、勇者の匂いに包まれ、彼女が顔を埋めて泣き濡れる。
じわりと染み込む彼女の涙を皮膚で感じた。
こんなにも、熱いのか。

自分との別れを、こんなにも哀しむものなのか。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/289.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice