過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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362: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/13(火) 06:07:44.03 ID:3MnLayldo
勇者「……もっと、早く言えば良かったのかな」

縋り付いて泣く彼女の頭を撫で、左手で大きく開いた背中を抱き締め、擦りながら漏らす。
こんなにも取り乱す彼女を見るのは初めてだ。
恐らく、本来の『王』もそうだろう。

勇者「…作ってくれた料理は、本当に美味しかった。……この七日、楽しかったよ」

言葉が耳に届いているのか、分からない。
反応は返ってこず、シャツの生地をきゅっと掴まれるだけ。

再び、風が吹き抜ける。
その風は――何故か、冷たかった。
隙間風のように心に吹き込み、身を竦ませるように冷たかった。

勇者「こんなに、別れを惜しまれるのは初めてだな」

彼女の髪を撫でる。
絹糸をまとめたかのように、上等な油に手を浸したように、さらりと指の間を通り抜ける。
髪から漂う香りは、旅の途中で訪れた、季節を無視して様々な花の咲く天上の谷を思い出させた。


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