過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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620: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/18(日) 23:39:47.35 ID:iqMuIW78o
無拍子で生成され、放たれた氷塊が連続で飛来する。
盾で頭と胴を守りながら、兜の装飾を毟り取られながら、脚甲を変形させながら。
業物の盾でさえ、魔王の呪文の前では紙のようだ。
左手に衝撃を感じ、その度に、骨が軋むのを感じた。

盾を下げてしまった拍子に、左側頭を拳大の氷塊が直撃する。
角飾りがへし折れ、視界が一瞬暗転し、足元がぐら付いた。

まだ、倒れる訳にいかない。

視界が、再び鮮明さを取り戻す。
くずおれようとした脚に再び力を注ぎ、踏み出す。
左腕に、もはや感覚は無い。
盾は変形し、外縁部は欠け、もはや防御力は期待できそうになかった。

だが、それは歩みを止める理由にならない。
未だ、自分は剣を握っているからだ。

勇者が声を張り上げているのが聞こえた。
あの男の事だ。きっと、『無茶をするな』だとか『一度退け』だのと言っているのだろう。

それでも、前を見据え、魔王の眼を睨み返す。
変形したフェイスガードの隙間から、魔王が二本の左手を振りかぶるのが見えた。
避けられない。
握りつぶされるのか、それとも吹き飛ばされるのか。あるいは、甲冑ごと引きちぎられるのか。

未来は、そんなところだろう。

瞬間、一陣の風が吹く。


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