過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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624: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/18(日) 23:48:17.57 ID:iqMuIW78o
旅の途中、鋼鉄のような皮膚を持つ魔物に出会った。
その硬さは、今目の前の魔王と同じ、いやそれ以上。

戦士と勇者は、それを倒す為にある技を思いついた。
呼吸を整え、一撃に全てを込め、鋼鉄をも切り裂く剣技。
幾度も失敗し、幾度も逃げられ、ようやく身につける事ができた秘剣。

それならば、魔王の皮膚すらも切り裂けるかも知れない。
試す価値は、十分にある。

呼吸を深く、長く取る。
極限まで集中しなければ、鋼鉄の魔物を斬る事はできないからだ。

静寂が心を満たす。
魔王の殺気の流れが、手に取るように分かった。
今しがた味わった皮膚の感覚が手に残り、切り裂く様子を克明に思い描く。

僧侶は今、戦士の治療を終え、魔法使いに回復を施している。
今少し稼げば、体勢は整えられる。

勇者「………!」

正眼に構え、こちらに視線を向けた魔王を正面に捉える。
痛みから回復した魔王は、口元に魔力を溜めていた。

勇者は、一気に距離を詰める。
まるで地が歪み、縮まったかのように瞬時に懐へ潜り込む。
この歩法もまた、鋼鉄の魔物を、離脱されるより素早く斬るための鍛錬の賜物だ。


――再び斬り上げられた剣は、更に深く、初撃で刻んだ傷をなぞり、血飛沫を上げた。


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