過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2011/12/21(水) 00:00:07.38 ID:nfQOajV2o
>>642
から
冷たく放たれる、『勇者』の号令。
身についた習慣が、脳に一時の冷静をもたらす。
戦士「…何故だ!何故、そんな事を言う!?」
勇者「分かってくれ。お願いだ、俺を置いてみんなは故郷へ帰るんだ」
僧侶「嫌。絶対に嫌です!!」
勇者「……そんな声出るんだな、僧侶」
魔法使い「説明しなさい!……あんたを残して行くなんてイヤよ!」
勇者「…ごめんな」
口々に、勇者の真意を問い、そして連れ出そうと言葉を連ねる。
戦士の激しい詰問にも。
僧侶の涙ながらの拒否にも。
魔法使いの口から出た、普段の苛烈さとは見合わない本音にも。
勇者は、寂しく笑いかけるだけ。
体を支えてくれていた戦士を軽く押しのけ、その場に危うげなバランスで立ち尽くす。
再び、魔王城が大きく揺れる。
大地震の前兆のように、何度も揺れと静止を繰り返す。
いずれ、城を崩壊させる大きな揺れが襲って来る。
こんな所で、押し問答をしている訳にはいかないのに。
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