過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2011/12/21(水) 00:04:40.70 ID:nfQOajV2o
戦士「………行こう」
屈強な戦士が、必要以上に険しい表情で二人を促す。
まるで、何かを必死で押さえ込もうとしているように険しい。
僧侶は涙ながらに、戦士に促される通りに動く。
魔法使いは最後まで渋っていたが、戦士の表情を見て、素直に従った。
―――離れたくないのは、自分だけなのではないと気付いたから。
三人は、瓦礫の向こうにいるであろう勇者に、背を向けた。
背を向け、足を動かす。
それだけの事が、戦いよりも厳しく、辛い。
戦士の顔は、いつにもまして強面に、硬く保たれている。
戦友を置いて逃げ出す、その情けなさに耐え難いから。
勇者のあそこまでの決意を、揺るがす事は出来ないと痛感したから。
『世界を救った男』に、人殺しなどさせたくないから。
その為には、置いて行く事しか許されないと気付いてしまった。
涙腺を鍛える事などできないから、険しく塗り潰す事でしか、その哀しみには耐えられない。
本格的に揺れ始めた魔王の城。
三人の旅の仲間達は――歪みかけた大扉を開き、決戦の間から出た。
振り返らずに、勇者の、最後の言葉を果たすために
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