250:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/02/11(土) 15:08:46.99 ID:7UYDiLV/0
あかり『……』
あかりの言葉に、私は何も返す言葉が見つからなかった。
なんで、言葉選びに慎重になってるいるのかわからなかった。
言葉を返すくらい簡単なことじゃないかって、そう思ってもやっぱり言葉は出ないままで、気づけば何もないままに時間だけが過ぎていた。
こんな気まずい電話は多分初めてなんじゃないかってくらいに思えて、だから終わらせ方もわからなくて。
あかり『京子ちゃん』
京子「あ、あかり?」
あかり『切っても大丈夫だよ。京子ちゃ――』
だから、そう言って助け舟みたいに渡された言葉に。
私は瞬間的に電話を切っていた。
最低な切り方、おやすみもさよならも、何もない切り方だ。
それを私はあかりに対してやった。
京子「……」
携帯を机に放り投げる。
独特な金属とプラスチックがぶつかり合う音がしてから、部屋の中はすごく静かになった。
あかりは辛そうにしてた。
声だけでもわかるくらいに、辛そうだった。
だけど、私はその辛さを分かろうともしなかったし、それを救いあげようなんて思わなかった。
だから会話をしなかったのかって言われたら、多分そうじゃないんだと思う。
いくらか頭で考えて、でもただ分かることがあるとすれば。
京子「聞きたくなかった……」
そう、聞きたくなかったから。
だから会話を繋げたくなかった、だから言葉が見つからなかった。
だって、もし言葉を間違えたら聞くことになってしまう。
辛そうで、でも意固地になって明るく振舞うあかりの声を。
頭から布団を被って、私はまどろみに飛び込む。
眠って楽になれるかなんてわからないけど、頭はジンジンするばかりで、逃げ出すこと以外に考えてることは無かった。
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