293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/07/25(水) 10:39:41.52 ID:HPVNzyAu0
―あかり―
新しく部屋に置かれた鏡台の前に座りながら、長く伸びた髪に触れる。
少しだけ枝毛が増えたかななんて考えながら、頭の中に浮かんでくるイメージをどこかに送ろうと頑張る。
でも、思うと浮かび上がってくるものがあった。
あかり「……」
手を繋ぎながらデートをする二人、頭が痛くなってくるのは、多分気のせいだって言い聞かせながら枝毛を見つける作業に没頭しようとする。
恋人同士、そう、二人が恋人同士になることは私が望んだこと。
だから、何も未練なんてないはずなんだから。
言いくるめるようにしても、心中は落ち着いてなどいなくて、過るビジョンが心を締め付ける。
分からない、まだそうだなんてわからない。だから、余計に思い浮かべてしまう。
あかり「京子ちゃん」
思わず言葉に出てしまって、ハッとしてしまう。
想った以上に歯切れの悪いことに、自己嫌悪に陥ってしまいそうになる。
京子ちゃんに電話を切られた日、頬を伝った涙を思い出して情けない気持ちが膨らむ。
あかり「うう、なんで」
気付けば目尻から涙が零れていた。
本当にあかりは悲しいから涙を流してる。
それが嫌だった。
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