過去ログ - アンリ士郎「あ、次の試合いつだっけ。」 嫁ライダー「安価で決めましょう」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2012/01/20(金) 16:07:17.02 ID:YeL03Idp0
動きを止めた彼の身体の中で、なにかの臭いを嗅ぎつけたように、蟲どもが鳴いた。
その動きにつられるように、彼は視線を落とし、そのときようやくそれに気づいた。
声をあげることもできなかった。
自身をこれほどまでに怯えさせたものは、彼の足下にあった。
そして開け放たれた窓の真下に、先程怯えていた男がいた。
なんの足場もない壁に、張りつくように浮かんでいる。
声もなく、気配もなく、身じろぎもせずに雨に打たれている。
不自然な形に首を曲げ、
かすかにうつむき、
張り出した窓枠に両手をかけて、
まるで、磔刑にあったような姿で、
――あの男は死んでいたのだった。
「――――ヶヒャヒャヒャヒャヒャ――――」
一つの物語が始まりの音を告げる。
如何なる神話伝承も伝説も、この蜘蛛を妨げることはできない。
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