過去ログ - 妹の手を握るまで
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487:SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]
2012/01/02(月) 20:44:04.10 ID:mK7XNpp0o
委員長ちゃんを呼び出した屋上の夕焼けの景色は今でも胸の中に残っている。あたしは、緊張のあまり顔に無意味な笑いを浮かべながら委員長ちゃんに告白した。
委員長ちゃんは最初驚いた様子だったけど、早口でまくりたてるようなあたしの告白をまじめに受け止めてくれた。

「心配しないで。妹友ちゃんのことを変だなんて思わないよ」
委員長ちゃんはあたしの目を正面から見ながら、淡々と返事をしてくれた。

「でも、あたしは妹友ちゃんの気持ちに応えられないの。ごめんね」

委員長ちゃんの最初の言葉で、気持ちが軽くなったあたしは、次の言葉で奈落の底に落とされた。

「あたしね、片思いだけど好きな人がいるの。昔からずっと好きだった人」

「それって女の子?」
ようやく搾り出したあたしの言葉は今思い返すと何て滑稽だったのだろう。
それでも、委員長ちゃんは苦笑しながらもまじめに返事をしてくれた。

「ううん、違うよ。男の子。うちの学校の先輩なんだけど、妹友ちゃんは彼氏先輩って知ってるかな」

「・・・・・・聞いたことあるよ。空手部の人でしょ? よく女の子たちが噂してるもん」

「そうだね。あいつ、クズのくせに人気だけはあるからな」
委員長ちゃんはつぶやいた。

「あたしね、あのクズとは幼稚園の頃からずっと一緒なの」

「幼馴染ってやつ?」

「そうね。あいつは女に手が早いし女の噂が耐えないし、多分あたしなんか女の子として見てないと思うのね」
委員長ちゃんは自嘲的に言った。

あたしは委員長ちゃんに告白して振られたのだけど心の底は妙に冷めていて、何か恋愛相談を受けているようだなんて考えていた。

「でも、やっぱりあのクズのこと好きなの。だからごめん」

「うん・・・・・・」

委員長ちゃんは泣き出したあたしの肩を抱いた。

「これまでどおり友だちでいてくれる?」
あたしの肩を抱きながら委員長ちゃんがそっとあたしに声をかけてくれた。

振られたあとも委員長ちゃんとは友だちだった。彼女はあたしのことを秘密にしてくれ誰にも話さなかった。その優しさに馴れたあたしが調子に乗って自分の同性愛的な悩みを語っても、彼女は、ごめん、あたしそういう気持ちってよくわからないからと突き放され、あまり相談に乗ってはくれなかった。

委員長ちゃんへの失恋を引きずってはいたけれど、あたしには少しづつ友人は増えてきた。特に同じ1学年の中でも華やかな女の子たちのグループがあたしに声を掛けてくれた。

「妹友ちゃん可愛い」「何かお人形みたい」「合コンするんだけど、妹友ちゃんも来ない?」「こらこら。この子は初心なんだからあまり誘っちゃ駄目だよ。ごめんね? 妹友ちゃん」

この子たちのグループの中に、妹ちゃんがいた。


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