522:以下、あけまして[saga]
2012/01/03(火) 11:26:20.93 ID:eLdT6SB4o
翌日、あたしは勇気を振り絞って今日は登校していた妹ちゃんに話しかけた。2時間目が終ったとの休み時間。今日は入学希望者へのオープンスクールがあり半日で授業が終るのでもうあまり時間
がなかったのだ。
「お兄さんの具合はどう?」
「だいぶ熱下がったみたい。ありがと」
「あのさ、その。お見舞いに行きたいってお兄さんにメールしたんだけど」
一瞬、妹ちゃんの顔が曇りそれまで見せていた笑顔が消えた。あたしは自分が始めてしまったこと後悔したけど、それでもこのゲームを止める気にはならなかった。
「妹友ちゃん、うちのお兄ちゃんのこと好きなの?」
妹ちゃんはすごく複雑な笑顔を浮かべて聞き返してきた。
「わかんないけど・・・・・・何か気なるっていうか」
あたしは必死で返事した。
「そうか。先輩のこと吹っ切れた?」
「うん」
少なくともこの言葉だけには嘘はなかった。
「妹ちゃんと先輩のツーショットを見ているのって正直辛かったけど、でも今は気にならない」
妹ちゃんは黙り込んだ。
「自分でもよくわかんないんだけど、今は妹ちゃんのお兄さんのことが気になる」
「・・・・・・今日、うちに来る?」
「いいの?」
「本当にいいの?」
妹ちゃんの家に上がる前、あたしはまた繰り返した。
「うん。平気だよ。お見舞いに行くってメールしたんでしょ」
「でも。来てもいいとかって言われてないし」
「大丈夫だよ。さ、あがって。お兄ちゃんの部屋2階だから」
その時、あたしはお兄さんと会った時に何を話すのか全く考えていなかったことに気づいて動揺した。
「妹ちゃん」
「何?」
「お兄さんに会う前に妹ちゃんの部屋に行ってもいい?」
「いいけど・・・・・・どうしたの」
「心の準備をしたいっていうか」
「何言ってるの。たかがお兄ちゃんに会うくらいで」
その時、学校で妹ちゃんに話しかけてから初めて、妹ちゃんは心から優しい微笑をくれた。
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