567:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/01/06(金) 21:38:54.61 ID:Kir/yBk8o
妹ちゃんがそういうグループの子たちと一緒にいるのには少し違和感があったけど、お兄さんを独占していたあたしはあまり気にしなかった。昔好きだった委員長ちゃんと妹ちゃんが並んで歩いている姿を校内で見かけると不思議な感慨があたしの胸に巻き起こったけど、それでもその感情には懐かしさはあっても不快感とか嫉妬心はなかった。
先輩に片思いをしている委員長ちゃん。お兄さんに届かない想いを抱えている妹ちゃん。認めたくないけど、当時のあたしは二人に対して憐憫とか優越感とかを感じていたのかもしれない。本当に好きな人とは結ばれない二人。それに対してあたしは本当に好きになったお兄さんと相思相愛の仲だ。もうあたしはこの二人に嫉妬することはないんだ。
クリスマスイブの日、お兄さんはあたしにどこかのレストランで食事をしようと言ったけどあたしはお兄さんの部屋で過ごしたいとおねだりした。これまでと同じであたしがお兄さんにお願いしたことはすぐにお兄さんのOKが出る。愛されているという安心感。
イブの日、あたしは自宅で用意したお料理やデパ地下で予約したオードブルを両手に携えてお兄さんのアパートを訪れた。
お兄さんの部屋の前にはお兄さんの大学の友だちがいて、最初は驚いたけど俺の彼女って紹介してくれたお兄さんの言葉にあたしは顔を赤らめた。お兄さんの部屋で過ごすクリスマスイブ。
あたしはその時、妹ちゃんを牽制したり苦しめたりする意図は本当になかった。ただ、お兄さんとのこの時間がずっと続けばいいと思っただけで。
お兄さんの部屋で過ごすイブは楽しかった。お兄さんは買ってきたオードブルよりあたしの手料理の方が美味しいと言ってくれた。お兄さんがあたしにくれたプレゼントは星を象ったシルバーのペンダント。正直に言えば少し子ども向け過ぎるかなと思わないでもなかったけど。でも、お兄さんの気持ちは伝わってお兄さんからプレゼントを受け取ったときあたしは不覚にも本心から涙をこぼした。
その日。お兄さんとあたしはお互いに呼び捨てようと決めたけど、あたしはどうしてもお兄さんを名前で呼び捨てできなかった。でも、お兄さんには妹友って呼捨てしてほしい。あたしのお願いを聞いたお兄さんはあたしに意地悪をした。あたしのことを何度も名前で呼び捨て顔を赤くするあたしのをからかったのだ。
今思い返すと本当に幸せなひと時。だけどそろそろ終電の時間が近づいていた。
何度も繰り返すけど、その時あたしが考えていたのはお兄さんと一瞬でも長く一緒にいたいということだった。
でもそれには妹ちゃんの協力が必要だった。それはお兄さんを諦めた妹ちゃんを更に傷つけることになるのかもしれないけど。
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