595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/08(日) 00:10:19.79 ID:sCd4xElDo
それから先のことはよく覚えていない。どうやって家にたどり着いたのかも。
最愛の人にこれ以上はないくらいに最悪な言葉をかけてしまったあたしは、すぐにお兄さんと妹ちゃんに謝った。
でも、心の中では委員長ちゃんと先輩を見かけたときの動揺がまだ渦巻いていた。あたしは、二人に別れを告げ込み合った電車で何とか家までたどり着いた。
取り返しのつかないことをしてしまった。自分の感情が見えないあたしはとりあえず最愛の人に最大の不信感を与えてしまったことに後悔した。
その時、ふと動揺の正体が見えた。わかってしまえば簡単なことだった。委員長ちゃんと先輩が本気で付き合い出すなら妹ちゃんは先輩に振られることになる。フリーになった妹ちゃんがお兄さんに剥き出しの好意をぶつけた時、お兄さんはどうするのだろうか。お兄さんと体を重ねたあたしは今まで自信過剰なくらい何の心配もしてこなかった。それが突然揺らいだのだ。
そう。認めたくなかったけどあたしは本心ではお兄さんの愛情を信じ切れてはいなかったのだ。妹ちゃんに対するお兄さんの気持ちをどこかで疑っていたのだろう。
・・・・・・もう認めざるを得なかった。やはり妹ちゃんは強敵だ。彼氏がいなくなった妹ちゃんがお兄さんを誘惑すれば体の関係を持ってるくらいでは勝てないかもしれない。あたしが考えるより早くあたしの本能は危機を察し、そのためにあたしはあれほどうろたえることになったのだ。ようやく自分の心理を理解したあたしは、泣き出したい気持ちを必死に抑えてお兄さんの心をあたしに引き止める策を練りだした。あまり重くしてはだめ。軽く済ませたほうがいい。
あたしは数時間後、お兄さんに吟味に吟味を重ねたメールを送った。
from :妹友
sub :今日はありがとうございました
『遅い時間にごめんなさい。今日は初詣に付き合ってもらってありがとうございました。最後に、ちょっと気持ち悪くなっちゃってお兄さんに失礼な態度をとってしまってごめんなさい。お兄さん
にそういう自分を見せたくなかったので、先に帰らせてもらいました。気を悪くしましたよね? 本当にごめんね。妹ちゃんにも謝っておいてくださいね。それで、明日会えませんか? 今日は中
途半端になっちゃったのでまたお兄さんに会いたいです。できれば妹ちゃん抜きで二人で。ではあまり体調もよくないのでもう寝ます。メールくださいね。おやすみお兄さん。愛してます(はあと
)』
妹の手を握るまで 第3部おしまい
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