638:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/09(月) 22:00:55.88 ID:8CpsmRrMo
あたしが屋上に通じる階段を上りきり重い鉄製のドアを苦労して開くと、夕日の中に彼女のシルエットがぼうっと浮かんでいるのが見えた。
逆光になっているためその表情は覗えなかったけど、教室で話せばいいものをわざわざあたしを放課後の屋上に呼び出すくらいだから、彼女も大切で秘密の用件を抱えているだろうとあたしは思った。何となく硬直したような彼女の姿勢からその緊張ぶりが伝わってくるみたいだった。
・・・・・・高校に入学して最初にできた友人は妹友ちゃんだった。何かやたら可愛らしいというか女らしい子で、そういうところはあたしと正反対だったけどそこがこの子とうまが合った原因かもしれない。女らしいと言ったけど、彼女は周りの女の子たちのように男の子への関心は全くないようだった。要するにまだ子どもだったのだろう。彼女の外見は幼いとは正反対でちょっと見には大学生のお姉さんのように見えたけど、中身の方は年齢よりもう少し幼い感じだった。
その頃あたしには意中の人がいたんだけど、友だちに相談できるような恋ではなかったので妹友ちゃんのように恋バナをしたがらない友人は好都合だった。そういうこともあたしと妹友ちゃんが仲良しになるのに一役買っていた。あたしたちはすぐに打ち解け校内で一緒に過ごすようになった。同級生の子たちからは夫婦とかって呼ばれてからかわれるくらいいつもべったりと一緒にすごしていた。
そんなある日、妹友ちゃんは珍しく顔を赤くして緊張した様子で放課後屋上に来てくれない? とあたしに言った。
あ〜あ。あたしはすぐに直感した。この子にもついに好きな男ができたか。ちょっと人より遅れてるかもしれないけど、妹友ちゃんもちゃんと成長してるのね。あたしはそんな妹友ちゃんの母親の様な感想を抱くとともに、少しだけ彼女のことを羨んだ。あたしの好きな男は既に彼女と付き合っていたし、顔を赤くして親友に相談することすらできないのだから。
あたしが屋上に続くドアを開け妹友ちゃんに声を掛けたあと、妹友ちゃんが話し出した内容はあたしの想像のはるか斜め上を行くものだった。
・・・・・・あたしは親友から好きだと告白されたのだった。
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