過去ログ - 妹の手を握るまで
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662:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/10(火) 22:17:14.47 ID:TszowrXeo
その時、あたしはふと妹友ちゃんも好きな子を失ったということに気がついた。自分の心のざわめきで精一杯だったとは言え、妹友ちゃんはあんなにも恋焦がれていた妹ちゃんを失ったのだ。
そのわりには妹ちゃんの表情からはそれほど暗い感じが見受けられなかった。考えてみれば自分の好きな子が男と付き合い出したというのにそれをわざわざあたしに報告してくれることすらおかしい。妹友ちゃんはあたしがあいつに長い片思いをしていることを知っていたけど、彼女は自分が落ち込んでいる時に人の恋まで気にするようなタイプではない。
前にも感じたことだけど妹友ちゃんは基本的には自分中心な性格をしている。その彼女がこんな時にあたしのことを気にしてくれるはずがないのだ。

あたしはそのことに少し驚き、おかげで妹ちゃんとあいつが付き合い出したことへの悩ましさを一瞬忘れることができた。

「あたしなんかより妹友ちゃんの方が辛いでしょ? こんな時にあたしのことなんか気にしてくれてごめんね?」
あたしは妹ちゃんに言った。

「ううん。委員長ちゃんはお友だちだし。それに・・・・・・」
妹友ちゃんは声をひそめた。

「あたしの恋なんて女同士だし初めから妹ちゃんに受け入れてもらえるなんて思ってなかったから」

そう話す妹友ちゃんは表情にはあまり思い悩んでいる様子はなさそうだった。

「妹ちゃんね、あまり先輩と二人で一緒にいないくてこれまでどおりあたしと一緒にいてくれるし。むしろ前より親密になったみたい」

「あ、そうか。妹ちゃんは妹友ちゃんから男を奪ったって思い込んでるのか」
あたしはようやくそのことに気が付いた。

「うん。妹ちゃんに怪しまれないように好きな男の人がいる振りをしてただけなのにね」
妹友ちゃんは複雑な笑みを浮かべて言った。

その時、何か小さな違和感があたしの中で浮かんだ。


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