704:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/13(金) 22:15:14.86 ID:rO4o6nxQo
その日、参拝を終えたあたしと先輩がファミレスで休憩していると、妹ちゃんからメールが来た。これから電話しても大丈夫かという内容だった。あたしは先輩に断ってトイレに立った。大丈夫だよと返信するとすぐに妹ちゃんから電話がかかってきた。
妹ちゃんとお兄さんは二人きりで車で帰宅する途中食事のためファミレスに立ち寄った。妹ちゃんはそこでトイレに行く振りをしてあたし電話してきたのだ。
あたしたちは二人ともトイレの中で電話をしていたのであまり長く会話を続けるわけにはいかなかった。
妹ちゃんはあたしにとって想定外の報告をした。
『やっぱり委員長ちゃんの言うとおりだったみたい。妹友ちゃん、先輩が委員長ちゃんと手を繋いでるのを見かけてショック受けてた』
淡々と報告する妹ちゃんの声が携帯から響いた。
「え? ショックって」
あたしは一瞬絶句した。妹ちゃんを愛している妹友ちゃんがあたしと先輩のツーショットを見かけたくらいでショックを受けるはずがない。
『やっぱり妹友ちゃんが好きなのはお兄さんじゃなくて先輩だったのね。だからあんなにショックを受けてたんだね』
妹友ちゃんの行動は妹ちゃんにはいろいろ納得できるものだったらしかった。
『お兄ちゃん、妹友ちゃんの言葉に傷ついてた』
妹ちゃんはポツンと言った。それだけでも彼女にとっては許しがたい罪だったのだろう。はっきりと言わなかったけど妹ちゃんの口調には覚悟と言うか、決心のような非常に強い意志の片鱗が感じられた。
『妹友ちゃんは先輩を諦めたけど、先輩を奪ったあたしに復讐するつもりでお兄ちゃんに近づいたんだと思ってたけど』
妹ちゃんは続けた。
『まだ先輩のことを諦めていなかったのね。それでいてあたしのお兄ちゃんを』
あたしがこのゲームを持ちかけた時には、親友の妹友ちゃんを思ってためらっていた頃の妹ちゃんはもうどこにも見当たらなかった。
妹ちゃんの静かな口調の裏には、むしろ自分と自分の大切なお兄さんを引き裂いたばかりか、お兄さんを騙し利用した妹友ちゃんへの剥き出しの憎悪が感じられた。
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