過去ログ - 妹の手を握るまで
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828:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/01/19(木) 21:21:08.95 ID:5b3z4PZMo
その夜何とか先輩たちを振り切って帰宅したあたしは真っ先にお兄ちゃんの部屋に向かった。こんな時間の帰宅をお母さんに叱られることは覚悟していたけれど、あたしが家に着いた時にはどういうわけかお母さんは家にはいなかった。

お兄ちゃんにさっきの酷い態度を謝ること。そして・・・・・・嫌な予感がするし正直気が進まないけれど妹友ちゃんに約束したとおりお兄ちゃんのメアドを教えてよいか聞くこと。
あたしはそれだけを考えてお兄ちゃんの部屋をノックした。


いつものようにパソコンの前に座ってゲームをしているお兄ちゃんはあたしが謝ってもそれを受け入れようとしてくれなかった。


「わざわざ車出しておまえを迎えに行った俺がバカだったよ。母さんにも文句言おうと思ったら出かけちゃうし」

「謝るくらいならさっきの態度を何とかしたら? そんなに俺と兄妹だって思われるのが恥ずかしいのか」


お兄ちゃんの冷たい言葉にあたしは萎縮し声がだんだん出なくなっていった。言い訳していてもお兄ちゃんから声が小さくて聞こえねえよなんて責められるほど。

あたしが悪いんだ。大勢の女の子たちの前でお兄ちゃんに恥をかかせお兄ちゃんを傷つけた。

お兄ちゃんが迎えに来てくれて本当は嬉しかったけど、恥ずかしくてついあんな態度をとってしまってごめんなさい。
こんな簡単な言葉をあたしは口に出来なかった。こんなことを言ったらお兄ちゃんに対するあたしの気持ちが伝わってしまうかもしれない。
普通の恋愛なら相手に気持ちが伝わるところから始るのだろうけど、実のお兄ちゃんに向けられたあたしの恋にはそんな贅沢な選択肢は許されていなかった。

お兄ちゃんがあたしの気持ちに気づいてしまったら、実の兄に恋愛感情を抱いている妹のことを気持ち悪いと感じるかもしれない。そうなったら今までの無関心なだけの関係が更に悪化してしまう。あたしにはそれが怖かった。
なので、あたしには、さっきは彼氏の知り合いがいっぱいいたからお迎えが来たことが先輩に知られて嫉妬されるのが怖かったということを、もそもそと言い訳するしかなかったのだ。

それは自分で考えても意味不明な言い訳だった。彼氏に嫉妬される? 普通の彼氏はお兄さんには嫉妬しない。これではまるであたしがお兄さんのことを男性として見ていることを仄めかしているようだった。幸いお兄ちゃんはそこまで考えずにいたって普通に反論した。

「誤解って・・・・・・兄貴って言えば済む話だろ」

その言葉はあたしの心に突き刺さったけど、あたしにはもう一つお兄ちゃんに言うことがあったので、お兄ちゃんに許してもらうことを半ば諦め無理に話を変えた。


・・・・・・あたしの友だちの妹友ちゃんにお兄ちゃんのメアド教えていい?


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