過去ログ - 妹の手を握るまで
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836:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/19(木) 22:44:09.60 ID:5b3z4PZMo
「おまえさ、彼氏のとこ行ってくれば?」


「え?」
一瞬あたしにはお兄ちゃんが何を言っているのかわからなかった。
お兄ちゃんはあたしのことなんか関心がない。ましてあたしと先輩の関係なんかもっとどうでもいいと思っていることは間違いないはずだった。
では何で?


「どうせ今夜も母さんたち遅くなるんだろ?」
お兄ちゃんは続けた。

「さっき電話があって今日は二人とも会社で泊まりだって」
とりあえずあたしは何とか平静を装った。

「行ってこいよ。彼氏と飯でも食ってきたら。男の誤解も解けるだろうし」
お兄ちゃんは何を言っているのだろう?

「あんな言い方じゃそれは疑われるよ」
冷静に話すお兄ちゃんの声

信じられないことにお兄ちゃんはあたしと先輩の仲を本気で心配しているようだった。
正直、あたしは先輩のとことに行く気は全くなかった。それよりむしろ看病と言う名目でお兄ちゃんの部屋で寝るまでお兄ちゃんと一緒に過ごせないかと考えていたのだ。

でもお兄ちゃんがあたしのことを心配してアドバイスしてくれている。これまでそんなことをあたしに言ったことなんか一度もなかったのに。
もちろんお兄ちゃんへのあたしの恋愛が届き始めたと言うことでは全然なく、疎遠だった兄妹がようやく普通の兄妹の関係になり始めたということに過ぎないのだけれど。

あたしはお兄ちゃんのアドバイスどおりにしようと決めた。心中は複雑だった。本心では先輩のことなんて放っておいてこのままお兄ちゃんと話していたかったけど、せっかく好転の兆しが見えたあたしたち兄妹の関係を潰してしまうのもいやだった。

「・・・・・・ありがと」
あたしは呟いた。

「ああ」
お兄ちゃんはあたしに微笑んだ。

「じゃ、行って来る」
あたしは後ろ髪を引かれるような思いでおにいちゃんの部屋を出て、先輩たちの待つからカラオケボックスに向かった。


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