854:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/20(金) 22:30:06.91 ID:Ohn7E77eo
その日は妹友ちゃんと廊下で出くわしたお兄ちゃんが突然廊下で倒れてしまったせいで、妹友ちゃんはお兄ちゃんは大して話が出来なかったようだ。
廊下で寝てしまったお兄ちゃんをベッドに運ぼうとしたけど(不本意ながら妹友ちゃんの助けも借りて)、当然ながら女の子二人の力では眠りこけているお兄ちゃんを動かすことはできなかった。
あたしはお兄ちゃんに布団をかけてお兄ちゃんのすぐ横に座った。お兄ちゃんに何かあるといけないのでお兄ちゃんが起きるまでは側についているつもりだった。
「今日はお兄ちゃんが目を覚ますまでここにいなきゃいけないんで」
あたしは妹友ちゃんに言った。
「うん。お兄さんお大事にね」
妹友ちゃんは意外にもあっさりと言い、自宅に帰っていった。
しばらくしお兄ちゃんが目を覚ました。何が起きたのか理解できていないお兄ちゃんに説明しながらあたしはお兄ちゃんの額に手を当てた。この頃になるともうお兄ちゃんの額に直接触れることは恥ずかしくなくなっていた。
「・・・・・・風呂入ってねえし汗かいてるし手汚れるぞ」
お兄ちゃんが言った。
「熱、全然ないね。さっき何で突然倒れちゃったの?」
「さあ」
「お兄ちゃん?」
「あ、ああ。熱なさそうだしシャワー浴びるわ」
「うん」
「おまえ今日は出かけねえの?」
「彼氏から電話ないし。お母さんたちも今日は帰ってくるし」
「そう」
「明日休日でよかったね」
明日は土曜日だからお兄ちゃんと一緒にいられるはずだったけど、あたしは学園祭の準備で休日登校しなければならなかった。
「まあな。あ、あのさ」
お兄ちゃんがぼそっと言った。
「うん」
「いろいろありがとな。看病とか雑炊とかさ」
「・・・・・・別に」
あたしにはそう答えるのが精一杯だった。普通の兄妹なら何と言うこともない言葉だろうけど、あたしにはすごく大きな意味を持った言葉だった。無関心な兄妹の仲がここ数日でこんなに接近したのだ。あたしは幸福感に酔いつぶれそうでそれ以上の言葉が出なかった。
「おまえも風邪ひいた? 何か顔赤いぞ」
あたしの気も知らずにお兄ちゃんは呑気に言った。
「何でもないよ」
ようやくあたしはそれだけ答えた。
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