過去ログ - 妹の手を握るまで
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867:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/21(土) 21:22:45.01 ID:Fm8w6/Rho
翌日の土曜日、学園祭の準備登校していたあたしはパンフレットの校正作業もうわの空でお兄ちゃんがあたしにかけてくれた言葉を思い出していた。



「行ってこいよ。彼氏と飯でも食ってきたら。男の誤解も解けるだろうし」

「彼氏と仲直りできたのか?」

「・・・・・・そう。よかったな」

「いろいろありがとな。看病とか雑炊とかさ」



こんな何でもない言葉を何度も心の中で反芻しているなんて滑稽でバカみたい。誰かに知られたらそれこそ呆れられるだろう。
でもあたしにとってはすごく大切な言葉だった。優しい言葉というだけなら友だちからも先輩からも両親からもかけてもらっているけど、幼い頃からあたしの一番近くにいたお兄ちゃん、それでいてあたしに無関心だったお兄ちゃんが初めてあたしに言ってくれたことだったから。

あたしはお兄ちゃんを忘れようとして先輩の告白を受け入れ先輩と付き合うようになったのだけれど、まだこんな何気ない言葉をお兄ちゃんからかけてもらうだけでこれほど高揚し、動揺し、幸福感に満たされる自分のことを考えると、お兄ちゃんのことを忘れることなんて本当にできるのかしらと、いつも考えていた疑問が更に強くあたしを苛んだ。

・・・・・・それでもあたしはまだ甘い幻想を抱いてはいなかった。お兄ちゃんがあたしに大して恋愛感情がない以上、お兄ちゃんとの仲は改善しても普通の兄妹どまりだ。あたしはそのことについては何の期待もしていなかったのだ。だから先輩と別れる気もないし、いつかは先輩がお兄ちゃんのことを忘れさせてくれるのではないかということもまだ期待していた。


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