881:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/21(土) 23:18:41.51 ID:Fm8w6/Rho
お兄ちゃんは再び車を走らせた。ハンドルを握っているお兄ちゃんは学校のどの男の子より格好よく思えた。少なくともあたしにとっては。
そのうち、あたしは何か奇妙な感じに襲われた。
それはよく学校とか街中では感じることがあるあの視線と一緒だった。
あたしはあたしの身体をチラチラ眺める視線に気がついたのだ。
お兄ちゃん?
あたしに関心のなかったお兄ちゃんがあたしを見るなんて。これはあたしの勘違いか夢なのでは。
お兄ちゃんの視線はこれまでの嫌悪感しか感じなかった男の子たちの視線と違ってあたしにとって不快なものではなかった。
むしろ何かを期待させるようなわくわくする感じがした。
それでもあたしはどう振る舞っていいのかわからず黙ったまま身体を固くしていた。
「食事、どこ行く?」
突然お兄ちゃんが沈黙を破った。
「どこでもいいよ」
あたしは何とか声を出した。
・・・・・・結局マクドナルドに寄っていくことに決まったけど、お兄ちゃんはなぜかお店に不満があるようだった。
「おまえ、それだけ?」
あたしのバニラシェイクを眺めながらお兄ちゃんは言った。
「うん」
「全然夕飯になってないじゃん」
考えてみればお兄ちゃんがあたしの食べる物に興味を示すのも珍しい出来事だった。
「あんまりお腹すいてないから」
「・・・・・・どっか具合悪いんじゃねえの?」
「別に平気」
お兄ちゃんは納得していないようだった。
「そういう甘いやつで食事代わりってよくできるよな」
それからお兄ちゃんは再び意外なことを聞いてきた。
「おまえさ、彼氏とはどうなってるの?」
え? もうあたしの勘違いではなかった。お兄ちゃんは少なくとも妹としてのあたしのことを気にするようになってくれている。
再びあたしの胸に考えられないほどの幸福感が訪れた。
「どうって」
あたしは必死で冷静に見えるように振る舞った。
「いやさ。俺の看病とかで彼氏に誤解されたんなら悪いし」
「あと、まあ。病気しておまえにも心配かけちゃったみたいだし、いろいろ悪いなと思ってさ」
お兄ちゃんは続けた。
・・・・・・あたしがお兄ちゃんのことを心配した?
それは真実だったけどお兄ちゃんがそんなことに気がつくはずはなかった。
あたしは常に冷静に振る舞っていただずなのに。
この応えは一つしかなかった。おしゃべりな妹友ちゃん。
「あたしが心配したって・・・・・・。妹友ちゃんに聞いたの?」
あたしは確認してみた。
「ま、まあ、そうなんだけどさ」
やっぱりそうか。
ちょっと妹友ちゃんに含むところがあるあたしは、ここでお兄ちゃんに忠告しておこうと考えた。
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