過去ログ - 妹の手を握るまで
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882:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/21(土) 23:23:25.89 ID:Fm8w6/Rho
それはいずれは言わなければいけないことだった。
お兄ちゃんにとってはあたしは恋愛対象ではない。最近仲のいいい兄妹になれる気がして浮かれていたあたしだけど、そこは履き違えてはいなかった。
だから、仮に妹友ちゃんがお兄ちゃんを好きになってお兄ちゃんもその気持ちに応えるのなら、内心どんなに辛くてもあたしはそれを祝福するつもりだった。
ただ、妹友ちゃんの複雑な性格のことは前もってお兄ちゃんに伝えておきたかった。そのせいでお兄ちゃんが傷つくことになるかもしれないのだから。

「・・・・・・妹友ちゃんの言うこと、あんまりマジに受け取らない方がいいよ」
あたしはその言葉をついに口に出した。

「え?」
お兄ちゃんは戸惑っているようだった。

「妹友ちゃんは面白がって、お兄ちゃんにいろいろ話してるだけだsi」

「彼女に限ってそんなことあるか」
お兄ちゃんのその反論にあたしの心は痛んだ。やはりお兄ちゃんは妹友ちゃんのことを気にしているのだろうか。

「・・・・・・お兄ちゃんって女を見る眼がないんだね」
あたしは少し温度の下がった声でお兄ちゃんに言った。

「そりゃ確かに俺は女の子と付き合ったことねえしよ。でも、妹友ちゃんはおまえのこと心配して」


え?
お兄ちゃんに警告を続けなければいけないはずなのに、あたしの心はまた脱線した。
女の子と付き合ったことがない?

「・・・・・・うそ!?」

「わざわざメールしてくれたりとか・・・・・・って、うそって何が」

「大学2年になるまで一度も彼女ができたことないの?」

「・・・・・・うん」
お兄ちゃんは少し嫌な顔で呟いた。

「お兄ちゃんって。中学高校は男子校だから仕方ないけど、大学に入ってからは彼女とかいるのかと思ってた。作ろうと思わなかったの?」
あたしは何か急にうきうきした気持ちでお兄ちゃんをからかうように尋ねた。

「思ったけどできなかったんだからしょうがねえだろ」
お兄ちゃんは不貞腐れたように答えた。そういうお兄ちゃんを見るのは初めてだった。
あたしは少し調子に乗っていたかもしれない。こういう恋愛関係の話を軽い口調でお兄ちゃんと話せることに浮かれていたから。

「作ろうと思ったのに何でできなかったの?」

「欲しいと思ったらできるもんじゃねえだろ」

「そうなんだ・・・・・・大学って恋人作るのそんなに大変なんだ」
ちょっとした皮肉。こういう会話をお兄ちゃんと続けることができるならもう何もいらないと思えるほどに、あたしは幸せだった。

「そうかあ。お兄ちゃん、彼女いないんだ」
あたしはお兄ちゃんに微笑んだけど、言うべきことはまだ言い終わっていなかった。

「俺の話はもういいよ。妹友ちゃんの話してたんだろ」
お兄ちゃんもそこで話を戻した。

「うん。お兄ちゃん、妹友ちゃんのことどう思う?」

「どうって・・・・・・別に。知り合ったばっかだし」

「優しくて思いやりがあって礼儀正しくてお兄ちゃんに好意を持ってるとかって思っていない?」
あたしはついにこの話の核心を話し始めた。

「俺に好意を持ってるかどうかは知らないけど、それ以外はそのとおりだと思ってる」
お兄ちゃんだけではない。男の子はみんなそう思うのだ。

「それ全然逆」
あたしは続けた。

「え?」
お兄ちゃんは再び戸惑っているようだった。

「お兄ちゃんに好意は持ってるかもしれないけど」

「え? え?」

「優しくて思いやりがあって礼儀正しくはない。そんな子いるわけないじゃん」
あたしは言いたいことを言い終えた。


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