過去ログ - 妹の手を握るまで
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892:saga
2012/01/22(日) 19:42:26.53 ID:1Eq+XbUTo
先輩の背後からは聞いたことのある声が重なり合ったざわめきが聞こえていた。いつものみんなでカラオケにでもいるのだろう。
先輩が話し出すまでもなく用件はわかっていた。

案の定、先輩はあたしにこれから出て来いよと誘った。

昨夜の少し気弱になっている先輩の声はそこには片鱗もなかった。いつものことだけど知り合いに囲まれて気が大きくなっているのだろう。
それでも精一杯静かに話すよう先輩も努力しているようだった。

『あのさ、昨日は悪かったよ。兄貴とのこと浮気なんて言っちまって』
先輩は周りの子たちに聞こえないよう声をひそめているらしかった。

『仲直りしようぜ。俺やっぱりおまえがいないと駄目なんだ』
今日はお兄ちゃんと一緒に過ごすと決めていたのだけど、あたしはふと気を変えた。

あたしとお兄ちゃんの仲がいい兄妹以上に進展しない以上、やはりあたしは最初に考えていたとおりお兄ちゃんのことを忘れる努力をすべきだ。
最近、兄妹としての間が改善されたからといってそれにのめりこんじゃ駄目。それはあたしにもお兄ちゃんにもいい結果をもたらすことはないのだから。

「うん、わかった。あまり遅くなれないよ」
あたしは先輩に答えた。

『おう、早い時間に送って行くよ。じゃあ待ってるから』

先輩の電話が切れたあと、あたしは急いで服を着替えた。


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