過去ログ - 妹の手を握るまで
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899:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/22(日) 22:35:09.79 ID:1Eq+XbUTo
お兄ちゃんがあたしのことを心配しいて夜遊びを止めようとしている。

「・・・・・・おまえが心配だからに決まってるだろうが」
確かにお兄ちゃんはこう言った。

今、あたしが期待できる限りの中では最高の言葉だった。
長い間あたしに無関心だったお兄ちゃんがあたしのことを心配してくれている。

あたしは胸の動機が激しくなって行くのを感じながら念押しした。

「・・・・・本当にあたしのこと心配してるの?」

「あ、いや。あの・・・・・・」
お兄ちゃんはまた俯いてしまったけど。

「・・・・・・うん」
あたしは携帯を取り出した。

「え?」
お兄ちゃんは面食らった顔であたしが電話をするのを見つめていた。

「あ、あたし。ごめんね、今日は遅いしそっちに行けない」

『・・・・・・どうしてだよ』
先輩の低い声。

「本当にごめん。でも、今日は行かないから」

しばらくの沈黙のあと、先輩はいきなり怒鳴りだした。声が大きいせいで何を言ってるのか聞き取れなかったけど、浮気とか兄貴という言葉だけがはっきりとあたしの胸に突き刺さった。

「お願い、大きな声出さないで。明日、日曜日だけど学祭の準備で登校日でしょ。明日話そうよ」
あたしは言い出したけど最後まで言わせてはもらえなかった。

『兄貴兄貴っておまえわざとやってんのかよ・・・・・・つもいつも・・・・・・ブラコンとかきめえんだよ・・・・・・どうて』
途切れ途切れにしか聞き取れない先輩の怒声がしばらく続いた。

「だから、そうじゃないよ。ねえ、聞いてよ・・・・・・あ」
あたしはようやく途中で口を挟んだけど話し始めたとたんに電話は一方的に切られた。

普段先輩の怒りには動じないあたしがなぜか今は動揺していた。それは先輩の怒りに対するものではなく、お兄ちゃんを忘れるために先輩を好きになるという目標が遠ざかったことに対する動揺だ
ったのかもしれない。
そしてあたしは動揺はしていたけど後悔はしていなかった。

お兄ちゃんがあたしのことを心配してくれたのだから。


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